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浅草絵巻 
平山郁夫原画監修(東京都台東区)

夜の仲見世 粋に演出

鮮やかな色が映える早朝=篠塚ようこ撮影
鮮やかな色が映える早朝=篠塚ようこ撮影
鮮やかな色が映える早朝=篠塚ようこ撮影 仲見世は午後9時、浅草寺は11時までライトアップされ、朝とは違う雰囲気に=篠塚ようこ撮影

 年間約3千万人の観光客でにぎわう浅草・仲見世通り。午後8時過ぎ、店が閉まった静かな参道にその絵巻は現れる。雷門から浅草寺に続く全長約250メートルの通りの両側に連なる店舗のシャッターに描かれた「浅草絵巻」だ。

 近代仲見世100周年事業の一環として、1985年に「夜も風情のある街並みにしよう」と、仲見世商店街と浅草で創業した文化シヤッターが企画。同区内にある東京芸術大学に原画を依頼した。故・平山郁夫東京芸大教授(当時)監修のもと、門下生16人が、ほおずき市や隅田川の花火など浅草界隈(かいわい)の風物詩を全4巻に分けて担当した。

 「参道を歩いていくと順に物語が見える。これは現代の絵巻物なんです」と言うのは、第3巻の「三社祭」に携わった東京芸大の手塚雄二教授(63)。天然の群青や純金を使い、ハトが飛び立つ祭りの朝や宮出し、みこしに集まる群衆など1日の動きを描いた。

 制作したのは文化シヤッター。原画をパソコンに取り込んで塩化ビニールの膜に加工し、切り絵のように張り重ね、89年に完成。2006年には、図柄はそのままにシャッターを新装した。

 店が閉まってひと気がなくなる間に見られるアートを、という粋な心意気が、浅草の街に息づいている。

(根津香菜子)

 浅草仲見世商店街

 江戸時代から続く、日本最古の商店街の一つ。1885年、れんが造り2階建ての洋風の店舗が建てられ、「近代仲見世」と呼ばれるように。1923年の関東大震災で被害を受け、現在は鉄筋コンクリート造りになっている。通りの両側、合わせて全長約400メートルの浅草絵巻が見られるのは、閉店後の午後8時~開店前の午前7時ごろまで。1月中は正月飾りの装飾が施されている。

 《アクセス》 浅草駅から徒歩3分。


ぶらり発見

抹茶ジェラート

 浅草寺裏手の言問通り沿いにある寿々喜園(すずきえん、TEL03・3873・0311)では、静岡県産の抹茶を使用する菓子店「ななや」とコラボした抹茶ジェラート写真はカップ560円)を。抹茶の濃さを1~7番まで選べるほか、ほうじ茶などの種類もあり、海外からの観光客にも人気。第3(水)休み。

 オープンから一周年を迎えた、東京楽天地浅草ビルの1~4階にある商業施設まるごとにっぽん(TEL3845・0510)は、日本各地の特産品を扱う店が集まる。3階には、ふるさと納税制度の解説や、山形県村山市の黒毛和牛などの返礼品を紹介するコーナーも。

(2017年1月17日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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