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周防正行さん
「三條若狭屋」の祇園ちご餅

「三條若狭屋」の祇園ちご餅
「三條若狭屋」の祇園ちご餅
「三條若狭屋」の祇園ちご餅 周防正行さん

 求肥(ぎゅうひ)に砕いた氷餅(こおりもち)をまぶしたざらっとした舌触りに、ほのかな甘さ。中に炊いた白みそが少量入っているのですが、どぎついしょっぱさはありません。控えめなのがいいのです。他のお菓子にはない味ですね。

 京都の祇園祭にちなんだ、夏を連想させるお菓子です。昔、祭りの稚児が八坂神社に「お位(くらい)もらい」にいく際、儀式の帰りに茶屋でみそだれをつけた餅を振る舞われたという話から生まれたとか。僕は甘いものを食べたらしょっぱいものも食べたくなるタイプ。ちょうどいいのです。

 昨年、京都の花街が舞台の新作映画に使うお菓子を探していた時に見つけました。季節感を大切にする花街ならではで、竹串に刺さった姿も可愛らしいので、「これだ!」と。映画で使う食べ物を「消えもの」というのですが、映画はいろいろなところに意味をこめて作るもの。こだわって選んだ一品です。

 

 ◆京都市中京区三条通堀川橋西町675(TEL075・841・1381)。
 午前9時~午後5時半。1包み(3本入り)388円~。全国発送可。


 すお・まさゆき 映画監督。
 代表作に「Shall we ダンス?」など。9月13日に「舞妓(まいこ)はレディ」が公開。

(2014年9月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)