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「大笹穂槍(やり) 銘 藤原正真(まさざね)作/号 蜻蛉切(とんぼきり)」

名刀は語る 磨きの文化(佐野美術館)

 


美博ノート
室町時代、個人蔵

 

 大河ドラマや、名刀を擬人化したキャラクターが活躍するゲーム「刀剣乱舞」などの影響か、刀剣ブームが巻き起こっている。平安~江戸末期に造られた約80点が並ぶ今展では、名刀が物語る歴史や文化に焦点を当てる。

 本作は、徳川四天王で初代桑名藩主の本多忠勝(ただかつ)(1548~1610)が所有していた大笹穂槍「蜻蛉切」だ。作者は刀工・藤原正真。重量は約500グラムと軽い。切れ味が鋭く、穂先にトンボが触れた途端に真っ二つに切れたことからその名が付いたと言われている。

 勇猛果敢なことで知られる忠勝は、戦で一度も傷を負わなかったという。槍の裏側には、梵字(ぼんじ)と不動明王が持つ三鈷柄剣(さんこつかけん)が刻まれる。「戦に勝つ、という強い思いが込められていたのでしょうか」と学芸員の志田理子さんは推測する。

(2017年1月17日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)