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「桜花図巻」

尾州徳川の花相撲(ヤマザキマザック美術館)

「桜花図巻」
部分 江戸時代後期

 園芸文化が花開いた江戸時代。戦乱の世が終わり、武士から庶民まで草花をめでる習慣が広まった。本展では、名古屋園芸(名古屋市中区)の「雑花園(そうかえん)文庫」が所蔵する植物図譜などで、その豊かさを紹介する。

 本作は、49種の桜が実物大に描かれた図巻。作者の広瀬花隠(生没年不詳)は狩野派に学んだ桜の絵の名手で、桜の写生画も多く残した。

 同文庫が所蔵する1800年代の図譜には、200を超える桜の品種が描かれている。八代将軍徳川吉宗が、隅田川沿いや飛鳥山などに桜を植えて花見の名所を造ると、一層親しまれる存在になった。庶民の間で流行した花の番付表には、「西方の大関」と記されている。

(2018年5月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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