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「有馬人形筆」

郷土玩具展 西日本を中心に(豊田市民芸館)

昭和後期の作。全長23センチ。写真右は筆の尻部分の拡大
昭和後期の作。全長23センチ。写真右は筆の尻部分の拡大

 筆先を下にして持つと、筆の尻からひょっこり豆人形が顔を出す。筆を逆さにすると人形は姿を隠してしまう。神戸・有馬温泉に伝わる兵庫県の伝統的工芸品「有馬人形筆」だ。からくり仕掛けの筆の軸には、光沢のある絹糸が巻かれ、色の組み合わせや模様は様々なものが作られている。

 室町時代に考案され、人形は温泉につかる様子を表したものだと言われる。「習字嫌いの若殿が人形筆を使ったことで習字好きになったという言い伝えもあります」と学芸員の岩間千秋さん。

 かつて、人形筆の製造元は複数あったというが、今は「灰吹(はいふき)屋西田筆店」だけ。その西田筆店は一昨年、火災で工房兼店舗が全焼。存続が心配されたが、今年1月に店を再開した。

(2018年6月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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