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「鍛高譚(たんたかたん)」シリーズにルビー色のニューフェース

合同酒精 新商品開発センター 近井智行さん

ザ・チャレンジャー
「鍛高譚R」を手元に置き、開発の苦労を語る近井智行さん
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 人気のしそ焼酎「鍛高譚」は2017年に発売25周年を迎える。北海道釧路市に隣接する白糠(しらぬか)町特産の赤シソを使って苦心の末に開発した。それから四半世紀を経て、オエノングループの合同酒精は「鍛高譚R」を売り出した。焼酎のようなドライな味わいで、鮮やかなルビー色のリキュールだ。赤シソの天然色素から出すことに成功した。開発を担当したのはパイオニアたちの1世代後の社員である近井智行さん(32)。誕生秘話を聞いた。

(星亜里紗)

 

――――「鍛高譚R」(以下「R」)開発のきっかけについて教えてください。

 Rの意味はレア(希少)、リッチ(芳醇=ほうじゅん)、ルビーです。しそ焼酎「鍛高譚」が発売25周年を迎えるにあたって、新たに若いファン層を開拓したいと考えていました。そこで企画したのが、若者をひきつけられるような、目で楽しめる「赤いお酒」。赤シソ本来の色味を活かした鮮やかなルビー色で、食事にも合うドライなお酒にすれば受け入れられやすいのではと思ったんです。オリジナルのしそ焼酎「鍛高譚」も赤シソを使っていますが、蒸留の工程を経るため、透明な液色のお酒となります。

 ――梅酒やワイン以外で赤色のお酒は珍しいですよね。どうやってこのルビー色を出したのでしょうか。

 「R」最大の特徴であるルビー色を出すのに最も苦労しました。「R」はオリジナルに比べ5倍以上の赤シソを使っていますが、赤シソは量が多いと苦みも出てくるので、バランスを考えて配合し、さらに食物繊維を加えることでコクや深みを出しました。赤シソの色素は酸性下で色付きますが、クエン酸を使うと酸が強くなりすぎて。でも、「R」は酸っぱいお酒にはしたくなかったんです。酸味を出さずにお酒を赤くする酸を探して、たどりついたのが「フィチン酸」です。試作サンプルは、1年越しで100以上もつくり、コンセプトにマッチする色、香り、味わいを追求しました。社内でも「きれいなルビー色がだせるのか?」と疑問の声もあがりましたね。しかし、フィチン酸を使用することで、鮮やかなルビー色でドライな焼酎らしい味わいがあるうえ、北海道白糠町産の風味豊かな赤シソの香りが特徴的なお酒に仕上がりました。

 ――北海道白糠町とのお付き合いのきっかけは。

 一村一品運動という地域振興運動があって、北海道白糠町特産の赤シソを使ってお酒をつくれないかと、北海道旭川市に工場を持つ弊社に声がかかったんです。そうして1992年、オリジナルのしそ焼酎「鍛高譚」が出来上がりました。白糠町の契約農家さんの赤シソは、手のひらに収まらないくらい大きい。香りや色も華やかです。

――「R」の開発時、25年前の「鍛高譚」の開発者からアドバイスはもらいましたか。

 現在の旭川工場の工場長をはじめとする先輩たちです。「R」開発時によく打ち合わせをしましたよ。「思いきりやれ」と背中を押してくれました。君たちが考えたお酒を表現できるように全力でサポートすると。

――代々若い方が開発されてきたんですね。お酒造りにはもともと興味があったのでしょうか。

 「R」の開発は、全体的に30代が中心の若いチームでしたね。僕は大学で食品化学を専攻していました。北海道網走市にあるキャンパスで学んでいたので、北海道に工場を持つ合同酒精のお酒にはなじみがありました。お酒をつくりたいと思うようになり、合同酒精に入社。最初は千葉県松戸市にある東京工場に配属され、ボトリング部門の生産管理、品質管理、メンテナンスを中心とした仕事を5年間経験しました。その後、今の新商品開発センターへ。今後は、「R」よりもさらに愛してもらえる「鍛高譚」シリーズをつくっていきたいです。「鍛高譚」を通じて、北海道白糠町の地域性や赤シソの魅力も伝えていけたらと思っています。

 

 

「鍛高譚R」と「同 スパークリング」

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※応募には朝日マリオン・コムの会員登録が必要です。以下の応募ページから会員登録を行って、ご応募ください。

→終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

 

《オエノングループと「鍛高譚」について》

 アイヌ語で、タンタカはカレイ科の魚の呼び名。北海道白糠町には、水底に住むカレイが、病気で苦しんでいる仲間のために、タンタカ山のふもとのシソを採って与えると仲間はみるみる元気になったという民話がある。「鍛高譚」は、この民話を踏まえ、響きもいいので命名したという。

 オエノングループは、「鍛高譚」「電気ブラン」を販売する合同酒精を中心に、富久娘酒造(神戸市)や越の華酒造(新潟市)など酒造会社5社のほか、関連会社を含め計11社で構成されている。麦、芋、米焼酎、ワイン、リキュールなど、それぞれ得意分野が異なり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら酒類の開発に取り組んでいる。

シャトーカミヤ本館

 オエノングループが所有する「シャトーカミヤ」(茨城県牛久市)は、日本初の本格的ワイン醸造場。1903年、合同酒精の創業者である実業家・神谷傳兵衛が開設した。敷地は約6ヘクタール。ワインショップのほか、レストランや「オエノンミュージアム」がある。歴史的価値が認められ、2008年に国の重要文化財に指定された。

 

会社データ

旭川工場

 ◆オエノングループ オエノンホールディングス(東京都中央区銀座)が持ち株会社。酒類事業や酵素医薬品事業などを展開している。従業員961人、売上高823億円(2015年12月期)。生産拠点は鍛高譚を製造している合同酒精の旭川工場=写真=など12カ所、研究所は2カ所。

(2017年1月23日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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