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鈴木茂兵衛商店@水戸

水府提灯からLED「提灯」まで

「すずも提灯」(3780円~)が並ぶ店内に立つ鈴木さん。手をたたくと点灯し、LEDで炎のようにゆらぐ光を再現した提灯も
「すずも提灯」(3780円~)が並ぶ店内に立つ鈴木さん。手をたたくと点灯し、LEDで炎のようにゆらぐ光を再現した提灯も
「すずも提灯」(3780円~)が並ぶ店内に立つ鈴木さん。手をたたくと点灯し、LEDで炎のようにゆらぐ光を再現した提灯も 「浮き」が出ないようにしっかりと和紙を貼る

 水府(すいふ)は水戸の異称。江戸時代、生活の苦しい下級武士の内職として、藩内で生産される和紙などを使った水府提灯(ちょうちん)作りが盛んになったという。

 伝統的な水府提灯は丈夫だが、作るには手間がかかる。一般的な提灯のように、骨となる竹ひごをらせん状に巻くのではなく、輪を一つ一つ作り、糸でつなぎ合わせていく。竹の節の凹凸がなく、きれいな円状に仕上げるには技がいる。鈴木隆太郎さん(64)は、1865(慶応元)年創業のこの店の7代目。「今はコスト面から大きいサイズしか作れず、飲食店用提灯の注文がほとんど」と話す。

 店ではさまざまな種類の提灯を手がける。需要は盆提灯が一番多い。しかし、注文は1990年代を過ぎたころから減ってきた。時代に合った商品をと考え、9年前にLED使用の「すずも提灯」を発売。水戸・偕楽園の夜梅祭で好文亭に展示し、好評だった作品を元にした。「かつて生活に欠かせなかった提灯のように、現代の生活を照らしたい」と思っている。3月10日の夜梅祭で「すずも提灯」を置く。

(文・写真 土田ゆかり)


 ◆水戸市袴塚1の7の5(TEL029・221・3966)。午前9時~午後6時。(土)(日)(祝)休み(6月15日~8月12日は(水)休み)。水戸駅からバス。

(2018年2月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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