お店の看板メニューと聞いて注文したのが、このマグレ鴨せいろです。「マグレ鴨」とは、主にフランス料理などに使用されるフォアグラを取り出したあとのカモ肉のこと。肉にも、フォアグラの濃厚な脂のうまみが残っているのが特徴です。

　元々フォアグラが大好きなのですが、年齢を重ねるごとに胃に負担がかかるように。ですが、このマグレ鴨なら、フォアグラの味わいが楽しめてフォアグラほどしつこくない。カモの濃厚な脂のうまみと、つるりとした食感の極細麺との相性もよく、いくらでも食べられます。味わいも、今まで食べたどのカモそばとも違っていて最初は面食らいましたが、気がつくとハマっていました。おいしくて、食べると元気が出る。時々無性に食べたくなる、他ではなかなか味わえない一品ですね。

　以前、原稿を書くために都内へ泊まり込んでいたとき、ホテル選びの条件の一つが、おいしいそば屋が近くにあることでした。原稿が行き詰まると、そばやうどんくらいしか食べられないからです。それから、そば屋でそばとつまみで日本酒を飲む姿に憧れもあって。残念ながら私はお酒に弱いので、店からすぐ帰れる時だけ飲むようにしています。

　◆埼玉県草加市旭町４の９の１６（電話０４８・９５１・４９３３）。
　１６００円。
　［前］１１時半～［後］２時半、６時～８時（ラストオーダーは３０分前まで）。
　［火］休み、不定休日あり。

　すが・しのぶ　小説家。
　１９７２年生まれ。「流血女神伝」（集英社コバルト文庫）を原作としたコミックが「サンデーうぇぶり」で連載中（窪中章乃（くぼなか・あきの）作画）。第２次大戦期のドイツ音楽界を舞台にした作品を祥伝社から今秋発行予定。