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「神農の虎」

郷土玩具展 西日本を中心に(豊田市民芸館)

「神農の虎」

 ユニークな表情をした動物の張り子や愛らしい土人形、色鮮やかな凧(たこ)など、日本各地に伝わる郷土玩具。本展では、戦後に作られた所蔵品から約550点が府県別に並ぶ。

 張り子の虎は各地にあるが、白い腹に「薬」の朱印が押してあるのは、大阪市中央区道修町(どしょうまち)の少彦名(すくなひこな)神社で授与される「神農の虎」だ。無病息災のお守りとして伝わり、「神農」は祭神の名に由来する。

 江戸後期、大坂でコレラが流行。「三日ころり」とも呼ばれ、「虎狼痢(ころり)」などと当て字がされた。道修町の薬屋が虎の頭骨などを調合した丸薬を作り、同神社で祈祷(きとう)して病人に分け与えたとされ、その際に厄よけ祈願のお守りとして一緒に配られたのが起源と言われている。学芸員の岩間千秋さんは「恐怖の中で人々が希望を託した姿が目に浮かびます」。

(2018年6月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)