今回は、下町ならではの雰囲気が心地良い街、浅草の味さんぽ。伝統に基づく老舗と、フレッシュなアイデアを生かした現代的なお店をご紹介します。
まずは、つくばエクスプレス浅草駅からすぐの商店街、六区ブロードウェイに面する交番近くの細道に位置する「フェッテ・パニッサ」。インテリア雑貨のデザイナーだった店主の小室文吾さん(40歳)が、イタリア人の友人から教えられたパニッサのおいしさに魅了され、好きが高じて4年ほど前にお店を開いたのだそうです。
「パニッサ」(250円 イートインのみ)とは、イタリア北西部リグーリア地方で食べられている郷土料理。ヒヨコ豆を練り固めてペースト状にし、型に入れておくと固まるのだとか。それをスライスしてオリーブオイルと塩コショウで味つけしたものです。そして同じヒヨコ豆ペーストをカラッと揚げたスナックが、「フェッテ」(250円 イートイン&テークアウト)。
そんなフェッテは、豆の香りとほのかな塩味とのバランスが絶妙。衣はカリッとしているのに、中身はしっとりと心地良い食感です。そしてブラックペッパーをふりかけると、味はさらにキリッと。グラスワイン(500円~)との相性も抜群です。
続いては、国際通りを田原町駅方面に5分ほど歩くと右側に見えてくる和菓子屋さん「桃太郎」。明治時代初頭に創業した老舗で、店主の蔵田士朗さん(57歳)は5代目。一番人気の焼き団子(110円)は、一日100本以上売れるという人気商品です。
混ぜものは入っていない手づくり。市販の上新粉は使わず、うるち米を粉に挽(ひ)いているそうです。ふんわりとしたお餅でできたお団子を焼き上げると、二度漬けしたしょうゆの香りが。焼きたては軟らかく、冷めてくるとコシが出てくるため、好みに応じて二種類の味が楽しめます(焼き団子は12月24日から2月上旬まで販売を休止するのでご注意を)。
「桃太郎」を出たら雷門一丁目交差点を左に曲がり、雷門通り、吾妻橋方面へ。雷門交差点を過ぎると、右手に見えてくるのが「亀十」。大正末期に創業した老舗で、営業担当の井上修一さん(40歳)によれば、一番人気の「どらやき」(315円)は、一日3000個も売れるのだとか。
十数人の職人さんが手ごね、手焼きで仕上げる手づくり。裏返しのようにも見える皮を食べてみると、香ばしい風味が口いっぱいに広がります。ちなみに餡(あん)は2種類があり、北海道十勝産の小豆を使った「小豆あん」は上品な甘さが魅力。そして「手亡(てぼう)」と呼ばれるインゲンマメを使用した「白あん」は、しっとりと軟らかい食感が特徴です。どらやきといえば小豆あんが一般的ですが、試しに白あんを食べてその魅力に取り憑(つ)かれる人も多いとか。上品な味わいを、ぜひ一度体験してみてください。
(印南敦史)
■フェッテ・パニッサ
東京都台東区浅草2-5-4
TEL:03-3845-6695
営業時間:午後2:30~午後10:00
(火曜と木曜は午後6:30~午後10:00)
休み:無休
URL:http://www.fette.co.jp/
グリーンのドアと白い壁は、イタリアのオリーブオイルを貯蔵する倉庫をイメージしたもの。
■桃太郎
東京都台東区西浅草2-13-10
TEL:03-3841-1287
営業時間:午前9:30~午後6:00頃
(売り切れ次第終了)
休み:不定休
休みは変更になることもあるため、事前に電話で確認を。
■亀十
東京都台東区雷門2-18-11
TEL:03-3841-2210
営業時間:午前10:00~午後8:30
休み:不定休(月1回程度)
URL:http://www.asakusa-noren.ne.jp/kamejyu/sp.html
店内はいつも大盛況。どらやきは次々と売れていくので、早めの時間の方が買いやすいかも。