小さな黒い穴からスズメが顔をのぞかせる。地上約4メートルに浮かぶ白いツリーハウスは、78個の鳥小屋が集まった「鳥の集合住宅」だ。2012年、小諸市内の安藤百福(ももふく)センター敷地内の森に、自然と親しむことを目的に建てられた。
ハウスの反対側には人間用の出入り口がある。各鳥小屋の裏にあるドアスコープから鳥の様子を観察できる仕組みだ。「デザインには、異なる要素をつなぐ接着剤のような力がある。その力で子どもと鳥の距離を縮めたかった」とデザインオフィスnendo代表の佐藤オオキさん(38)。
各鳥小屋の色を微妙に変え、一つの固まりではなく、「集合」した住居であることを表現した。現在は安全上の理由で立ち入りできないが、眺めるだけでも楽しさが伝わってくる。
自然相手の作業には、人間の都合通りにいかない苦労もあった。土台となるケヤキの木を傷めないよう、施工は落葉するまで半年待った。木々と対話しながらの進行は「難しかったけど魅力的だった」と佐藤さん。繊細な造形には家具職人の力を借り、完成まで約1年を要した。
県内から遊びに来ていた岡恵理子さん(38)が「秘密基地みたい」と見上げると、娘のくるみちゃん(8)は「きっと中で鳥が遊んでいるよね」と笑顔を見せた。
(星亜里紗)
安藤百福センター インスタントラーメンの発明者、安藤百福が創設した安藤スポーツ・食文化振興財団が、2010年に自然体験活動の普及を目的に設立した。11年から「小諸ツリーハウスプロジェクト」を始め、計7棟のツリーハウスを展示。年2回(春・秋)イベントを開催。通常は見学のみ可能(要受け付け、TEL0267・24・0825)。 《アクセス》 小諸駅から車で約10分。 |
長野の名産「信州みそ」。小諸駅から徒歩10分の酢久商店(TEL0267・22・0009)では、低温でじっくり熟成させた山吹色のみそ「黄金づくり」(1キロ、1296円)などを販売している。みそ入りのせんべいのほか、甘酒も人気だ。
小諸駅を出てすぐ。停車場ガーデン(写真、TEL24・2525)は、四季折々の花を眺めながら過ごせる公園。多肉植物のコーナーが見どころ。敷地内にはカフェや園芸ショップもあり、雑穀や豆類などの特産品や季節の草花の苗を購入できる。「デコ巻き寿司講座」などのイベントも開催されている。原則(木)休み。