「いろんな形があるね!」「トラの下にいるトリが好き!」。空港へ遊びに来た小学生の姉妹が陶板レリーフを眺めながらはしゃいでいた。
企画・制作を手掛けたのは、全国の駅や空港にパブリックアートを設置する日本交通文化協会。事業開始から500作目にあたる作品として、2014年2月、東日本大震災からの復興を願い、福島空港に設置した。
原画は日本画家・堀文子(98)の同タイトルの作品。作家監修のもと、再構成して作り上げた。堀さんは、関東大震災や2.26事件など激動の時代を生き、兄弟を第2次大戦で亡くした。「ユートピア」は、地球を独占しようとする人間のおごりが許せず、全ての命が平等だった頃の地球を夢見て描いた。「自然の中で愛らしい生き物たちが共生している姿が、福島復興のイメージと重なった」と同協会の山崎洋子さん(60)。
大きさは高さ約5.5メートル、幅約4.5メートル。粘土で造形した後、583のピースに分けてから施釉(せゆう)や焼成を行った。制作には職人10人がかりで約10カ月を要し、堀さん自身も工房へ通い進行を見守った。
「私を育てたのは素晴らしい自然です。人も花も動物もみんな同じ、自然の一部なのです」と語る堀さん。「壁画」の中のユートピアで暮らす動物たちは、今日も福島を温かく見守り続けている。
(笹木菜々子)
福島空港 大阪、札幌への発着が1日10便あり、年間約25万人が利用する。東日本大震災以降、国際線は運休したままとなっている。昨年春には大型観光事業「ふくしまデスティネーションキャンペーン」を実施。これをきっかけに、空港国内線ビル1階にある到着時の手荷物受取場などに同県出身の写真家が撮影した色とりどりの花の写真が飾られた。今も空港利用者を明るく出迎えている。 |
福島空港内の空の駅 たまかわ(TEL0247・57・3800)では玉川村の特産品が購入できる。おすすめは「さるなし100%ジュース」(写真、520ミリリットル、1620円)。さるなしは酸味の強い果実。ビタミンCが豊富でさっぱりした味わいだ。高糖度のトマトを使ったジュースも人気。
空港国内線ビル2階のウルトラマン オフィシャルショップ SHOT M78は東北唯一の公式販売店。空港に近い須賀川市とコラボした「ウルトラマンてぬぐい」(全2種、各800円)を販売中だ。手作りで、背景には観光名所が描かれる。問い合わせは福島エアポートサービス(57・1650)。