札幌市中心部を南北に流れる創成川。川沿いの公園で、歓声が響いていた。7人の子どもたちが、川をまたいでかけられた直径約20メートルの白い輪の上をぐるぐる回ったり、段差をよじ登ったり。川の上の渡し部分で20代のカップルが子どものためによけ、笑って手を振った。
この輪「スノーリング」は、パブリックアートを多く手がける西野康造さん(65)の作品だ。柳が繁茂した暗い川岸を、人々の交流が生まれる公園に変える計画の一環で、市から依頼を受け、5年前に制作した。
作品の色は札幌の雪をイメージした。素材はステンレスと花崗岩(かこうがん)。川に架かった2カ所の部分には、人が触れ合うための工夫を凝らした。一方はすれ違うことができる広めの幅。もう片方は肩触れて「仲良く譲り合えるような」狭めの幅に。
遊び心のあるデザインも加えた。例えば、円の内側に四角い穴を開けた。350ミリリットルの缶ビールを置くのにぴったりのサイズ。芝生に寝転んだ人が使えるようにという配慮だ。
園内にある3人の作家による18の作品の多くは、北海道にちなんだテーマで作られ、触れて遊べる。川面に覆い被さるように茂っていた柳は取り払われ、水遊びができるようになった。近所に住む男性は、「暗かった川辺が明るくなったね」と笑った。
(土田ゆかり)
創成川公園 創成川付近の地下を走る車道の改修に伴い、5年前に川沿いを整備し、完成。現在、全長820メートルの園内には樹木や花が植えられ、初夏には30品種のライラック、秋には紅葉が楽しめる。ガイドツアーは随時実施(要予約)。9月2日~4日、園内の広場でサンキューフェスティバルを開催。近くの二条市場の飲食店などが、ビールや海鮮焼きを販売する。問い合わせは公園管理事務所(011・221・4100)。 《作品へのアクセス》 大通駅から徒歩5分。 |
「スノーリング」のすぐ横にそびえ立つさっぽろテレビ塔(TEL011・241・1131)は、高さ147.2メートル。90.38メートルの高さにある展望台フロアからは、札幌の街全体が見下ろせる。窓が外側に傾いた「怖窓(こわそ~)」は、真下の景色を見るときにスリル感がある。展望台入場料720円。
ジビエを手軽に味わえるつくだ煮を販売するのは、公園近くで茶問屋を営むお茶の玉翠園(TEL231・1500)。秋冬に仕留めたエゾシカをほうじ茶で炊きあげた「雪もみじ」(写真、120グラム、972円)は添加物不使用。高たんぱく、低脂肪で、夏バテのときにおすすめという。