窓から差し込む日差しを受け、キラキラ輝く巨大なアンモナイト。そこからスーッと伸びる「何物」かは、雲のようにも鳥のようにも見える。縦7・2×横4・2メートルの壁画アートは、現代美術家の鴻池朋子(56)が2012年に制作。東京都港区立港南子ども中高生プラザが入る建物のエントランスにある。
同プラザのリニューアルオープンに伴い、「地域の象徴になるような作品を設置して欲しい」という声が住民たちから上がった。その要望を受けて区が鴻池さんに依頼した。
作品のテーマは「海」だ。東京湾に面し、東京海洋大学も擁する同区の土地柄にちなんだ。「海と聞いて、すべての生命が生まれた場所というイメージが浮かびました。原始生命が海から陸に上がり、四足から二足歩行に進化する過程が子どもの成長していく姿と重なったんです」と鴻池さん。その原始生命をWild Things(野性の何か)と名付けた。
アンモナイト形の光の渦は、銀河系が誕生する混沌(こんとん)とした宇宙を表す。そこから飛び出した生命体には、あどけない顔と、緑が生い茂る日本の四季が描かれている。
「海」なのに、背景はなぜか赤色。生命を象徴する血液や地底のマグマを思わせる。「子どもたちなら、わかってくれるでしょう」
(尾島武子)
港南子ども中高生プラザ 18歳以下の子どもたちに遊び場を提供する児童施設。愛称は「プラリバ」。2012年12月にオープンした。小学生を対象にした学童クラブをはじめ、図書室やダンススタジオなどがあり、子どもたちに自主的な活動を促す。エントランスホールには、鴻池さんの水槽作品も。午前9時半~午後8時。(祝)(休)と12月29日~1月3日休み。鑑賞は同プラザの事務室に声をかける。 《作品へのアクセス》 品川駅港南口から徒歩約15分。 |
港南子ども中高生プラザから徒歩5分、東京海洋大学品川キャンパス内水産資料館(TEL03・5463・0430)では、海洋生物から水産食品まで、海について幅広く紹介する。(土)(日)(祝)と第2・4(木)休み。構内には、国の登録有形文化財の帆船雲鷹(うんよう)丸もあり、自由に見学できる。
天王洲アイル駅から徒歩約5分、運河沿いのレストランT.Y.HARBOR(TEL5479・4555)には醸造所が併設され、月替わりのクラフトビールが味わえる。9月はコスタリカ産のコーヒー豆を漬け込んだ「コーヒーセッションIPA」=写真はMサイズ880円。