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かがみいし田んぼアート 
鏡石町と有志のみなさん作(福島県鏡石町)

稲で描く復興の証し

稲が成長すると絵が濃くなる。右手前は町公式キャラクター牧場のあーさー♪=8月上旬、横関一浩撮影
稲が成長すると絵が濃くなる。右手前は町公式キャラクター牧場のあーさー♪=8月上旬、横関一浩撮影
稲が成長すると絵が濃くなる。右手前は町公式キャラクター牧場のあーさー♪=8月上旬、横関一浩撮影 奥は展望台がある図書館=8月上旬、横関一浩撮影

 50アールの田んぼを巨大なキャンバスに見立て、黒、黄、赤、白と色鮮やかな稲で描かれたかぐや姫。鏡石駅前で行われている田んぼアートが青空の下、今年もくっきりと浮かび上がった。

 水と気候に恵まれた福島県鏡石町は、古くから農業で栄えてきた。しかし東日本大震災により、1年間ほぼ全ての水田で作付けが不能に。そこで2012年、復興のシンボルとして町と町内外の有志が田んぼアートを始めた。町産業課の石井秀樹さん(29)は「元気になった鏡石を見て欲しい」と意気込む。

 隣接する図書館に展望台があることから、コンセプトは「窓から眺める絵本」。毎年、日本の昔話を題材に絵を決める。町職員がデザインし、展望台から見た時にバランスがとれるよう、遠近法を用い図面にする。

 使う稲は県オリジナル米や古代米など7種類。種まきから育苗は地元の岩瀬農業高校生が担当した。生物生産科3年の鈴木翔太さんは「無事に育てなくてはと責任を感じた」と、今も通学中に田んぼの様子を見守る。

 5月、高校生や町職員らが1週間がかりで、稲の色を分ける目印を田んぼに2千以上設置。その後、県内外から集まった300人で田植えを行った。今年の観覧者はこれまでに約1万8千人。現在は黄金色に色づき始め、10月10日に稲刈りの予定だ。

(永井美帆)

 鏡石町

 福島県中央南部に位置し、総人口は約1万2千人。町のブランド米「牧場のしずく」やイチゴ、リンゴなどの栽培が盛ん。

 10月10日(月・祝)開催の田んぼアート「稲刈り祭り」では参加者を募集。とれたての米で作ったおにぎりの昼食も。定員約200人。申し込みは町産業課(TEL0248・62・2118、9月30日まで)へ。

 《作品へのアクセス》 JR鏡石駅からすぐ。


ぶらり発見

パンや焼き菓子

 田んぼアート観覧後は、会場から車で5分の岩瀬牧場(TEL0248・62・6789)へ。1880年に御料牧場として創業。唱歌「牧場の朝」のモデルでも知られる。農業体験や動物との触れ合いのほか、開拓当時の牛舎や事務所など歴史的建造物も見学できる。

 鏡石駅から徒歩10分のパン工房 陽だまり(TEL94・8361)では、昨年の田んぼアートで収穫した米の粉を使ったパンや焼き菓子=写真=を販売している。「お米ブレッド」(1本430円)はあんこ入りとチーズ入りがあり、モッチリとした食感。パウンドケーキやクッキーなども。

(2016年9月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)