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銭形砂絵 作者不明(香川県観音寺市)

宝の目印?UFO?

午後2時ごろ陰影が濃くなりきれいに見える=桐本マチコ撮影
午後2時ごろ陰影が濃くなりきれいに見える=桐本マチコ撮影
午後2時ごろ陰影が濃くなりきれいに見える=桐本マチコ撮影 撮影した11月中旬は世界糖尿病デーに合わせ青色にライトアップ=桐本マチコ撮影

 眼前に穏やかな瀬戸内の海と広い空が溶け合う、琴弾(ことひき)山の展望台。下をのぞくと、松林の緑に囲まれ、白砂でできた巨大な「寛永通宝」が現れた。

 東西122メートル、南北90メートル。最大2.5メートルの深さがある。1633(寛永10)年、巡視に訪れる丸亀藩主を喜ばせるため領民が一夜にして掘ったと伝わるが、文献も残っておらず起源は謎だ。「近くの伊吹島に埋まる海賊の宝を示すとか、UFOの地上絵説もあります」と観音寺市観光協会の片桐栄子さん(65)。

 1897年に県営公園として整備され、3年前に市内の宝くじ売り場から高額当選が出てからは、金運スポットとして更に多くの観光客が。千葉から来た50代の夫婦も「このまま宝くじを買いに行く」と笑い合う。

 砂絵は毎年春と秋に「砂ざらえ」で化粧直しされ、10月には市民ら約300人が参加した。「『寛』の払いをもう少しはねさせて」。展望台からマイクで指示を出し、スコップなどを使い連係プレーで文字を整える。

 近くで旅館を営む坂本久幸さん(59)も作業に加わった一人。子どもの頃は一帯が遊び場で「本当はだめだけど、砂をクッションにバック転の練習をしたこともある」と苦笑いする。ここには昔も今も多くの市民が憩うという。「砂絵を中心に地元の人たちがつながっていく、特別な場所なんです」

(中村さやか)

 琴弾公園

 銭形砂絵がある県立公園。48ヘクタールの敷地内にある琴弾山は、松林に吹きつける海風の音が「仙人が琴を弾いているようだ」と、その名がついたとも言われる。園内には四国八十八カ所霊場の神恵院と観音寺もある。夕日の絶景で知られ、普段は日没から午後10時まで砂絵を緑色にライトアップ。現在は1月17日まで期間限定で「黄金色」に照らされている。

 《アクセス》 JR観音寺駅から車で3分。


ぶらり発見

金運のあんもち雑煮

 琴弾公園に隣接した世界のコイン館(TEL0875・23・0055)では、古銭や記念硬貨、世界の様々なデザインの通貨を展示。クイズを通じて、貨幣について楽しく学ぶことができる。300円。併設の土産物店には、いりこや婚礼菓子の「おいり」など、名産品が並ぶ。

 香川県の郷土料理には、あんこ入りの丸餅を使った白みそ仕立ての雑煮が。自宅で気軽に作れるセット、金運のあんもち雑煮写真、2食、1080円)は、本物の寛永通宝のおまけ付き。観音寺市内や公式サイトで販売する。問い合わせは藤田 讃岐の素事業部(24・2121)。

(2016年12月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)