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WEB FRAME 
渡辺誠作(東京都文京区、飯田橋駅)

地下に育つ「緑の森」

C2、C3出口付近。緑は安全のイメージでもある=山本倫子撮影
C2、C3出口付近。緑は安全のイメージでもある=山本倫子撮影
C2、C3出口付近。緑は安全のイメージでもある=山本倫子撮影 換気塔はステンレスと強化ガラス4枚でできている。騒音軽減の役割も=山本倫子撮影

 地下空間の頭上に、鮮やかな緑の「網」が広がった。都営地下鉄大江戸線の飯田橋駅。15人の男女から「わぁ」と歓声があがる。大江戸線内の駅舎やアートを巡るツアーの一コマだ。

 大江戸線38駅中の26駅は、公募で選ばれた建築家が設計した個性豊かなデザインに仕上がっている。飯田橋駅の天井にあるのは、建築家・渡辺誠さん(65)が設計した「WEB FRAME」だ。エスカレーターや階段上を緑の鉄パイプの網が縦横無尽に駆け巡る。

 「植物の種子が発芽し、水や土を求めて根を伸ばし成長するイメージ」と渡辺さんは話す。鉄パイプの組み合わせの角度や枝分かれの数といった必須条件に、空間の広がり具合など設計者の意図を加え、コンピュータープログラムが自動設計した。

 作品に組み込まれた照明の配置にも工夫がある。一定間隔ではなく、一カ所に固まっていたり、ぽつんと離れていたり。それでいて、均等に照らすように設計されている。「自由に見えて実はシンプルな規則があるのも植物の原理に近いですね」と渡辺さん。モノトーンで単調な駅構内にリズムを刻み、気持ちのいい空間を目指したという。

 見学ツアーガイドの石村誠人さん(70)は、「ここは、最高に考えられた駅ですね」と胸を張る。地中深くに育つ人工の森が今日も通勤客らの疲れをいやしている。

(佐藤直子)

 都営大江戸線・飯田橋駅

 2000年12月に開業。地上からホームまで深さ約32メートル、1日平均約3万2000人が乗降する。構内は連絡通路やホームをエリアごとに色分けして、現在地を分かりやすくしている。通路の床は地面に似せて黒色に仕上げ、外にいるような雰囲気を出した。「WEB FRAME」はC1と、C2、C3出口付近の二カ所にある。C3出口地上部には、植物が葉を広げたような形の換気塔も。大江戸線・駅舎見学ツアーへの参加問い合わせは、石村さん(TEL080・3543・7416)。


ぶらり発見

縁結び鈴蘭守り

 B2a、A4出口から徒歩5分の東京大神宮(TEL03・3262・3566)は「恋のパワースポット」とも呼ばれ、若い女性でにぎわう。スズラン形の「縁結び鈴蘭守り」(写真、700円)など約50種を授与。和紙人形が付いた「恋みくじ」(200円)は、恋愛を成就させるアドバイスが記されている。

 カナルカフェ(TEL3260・8068)は、飯田橋の外堀に浮かぶテラス席からの景色が自慢のイタリアンレストラン。釜焼きピザ(1800円から)などを味わえる。営業時間は問い合わせを。B2a出口からすぐ。

(2017年5月16日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)