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自転車もどきⅥ 
ロバート・ラウシェンバーグ作(東京都立川市)

夜を彩るネオンサイン

「立川タカシマヤ」と「パレスホテル立川」の間に置かれている=町田あさ美撮影
「立川タカシマヤ」と「パレスホテル立川」の間に置かれている=町田あさ美撮影
「立川タカシマヤ」と「パレスホテル立川」の間に置かれている=町田あさ美撮影 近くには、サンデー・ジャック・アクパン作「オブジェ(見知らぬ人)」が植木の中に並ぶ=谷本結利撮影

 日が沈んだ立川のビル街に、カラフルなネオンの自転車が浮かび上がった。その前を、学生や主婦、会社員たちが、自転車を引いて通り過ぎていく。

 ここは地下駐輪場の入り口。その真上に置かれた作品は日没から午前0時まで光り、駐輪場のサインにもなっている。芸術としてだけでなく機能的に人々の生活に溶け込んでいるのだ。

 作者は米国ポップアートの先駆者ロバート・ラウシェンバーグ(1925~2008)。本人が使用していた自転車に、ネオン管を取り付けたという。そして、これを駐輪場に置きサインとして使うアイデアを提案したのが、作品のある再開発地区「ファーレ立川」のアートディレクター、北川フラムさんだ。「駐輪場に明るいシンボリックな作品が合っていると思った」と北川さん。ラウシェンバーグにその意図を伝えると、本人も「それは嬉(うれ)しいね」と言い、快諾してくれたのだという。作品は、1994年10月13日、街の完成と共にこの場所にお目見えした。

 通勤で毎日この駐輪場を利用している立川市在住の女性は「当たり前のように街にあるけど、かっこいい。夜に目立ってきれいですね」と語る。

 遠くからでもすぐ分かるネオンサイン。作品は人々の日常に寄り添いながら、今夜も街を明るく彩る。

(町田あさ美)

 ファーレ立川アート

 米軍立川基地跡地にできた再開発の街「ファーレ立川」のアートプロジェクト。「まち全体が美術館」の構想のもと、ホテルや百貨店、オフィスビルなど11棟が立ち並ぶ中に、世界36カ国92人のアーティストが制作した109点のパブリックアートが置かれる。地元の小学生に向けた鑑賞教室のほか、イベントやワークショップなども実施。問い合わせは市産業文化スポーツ部地域文化課(042・523・2111)。

 《アクセス》JR立川駅北口から徒歩3分。


ぶらり発見

「the SOUND of Oldies in TACHIKAWA」シリーズのカレンダー

 立川駅南口から徒歩15分の立川印刷所(TEL042・524・3268)では、昭和時代の立川の風景写真を集めた「the SOUND of Oldies in TACHIKAWA」シリーズのカレンダー(写真、1080円)や写真集などが購入できる。立川育ちの店主・鈴木武さんが考案した。午前9時~午後5時半。(土)(日)(祝)休み。

 駅北口からバスで10分のチーズ専門店&カフェサロン・ド・テ・チーズ王国(TEL513・4101)は、手作りチーズ菓子や季節のチーズランチ(1500円、11時~2時)が楽しめる。10時~7時。(火)ほか不定休。

(2017年9月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)