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シロハヤブサ 
ロベルト・ベッシン作(北海道置戸町(おけとちょう))

北の大地 舞い降りた野鳥

「シロハヤブサ」は、夜はライトアップされる=青木美伸撮影
「シロハヤブサ」は、夜はライトアップされる=青木美伸撮影
「シロハヤブサ」は、夜はライトアップされる=青木美伸撮影 森林工芸館の前にある「シマフクロウ」=青木美伸撮影

 北海道オホーツク管内の置戸町。面積の80%以上を森林が占めるこの町には、野鳥をかたどる青銅作品が点在する。モチーフは町に生息するアオサギやクマゲラ、今では絶滅危惧種となったシマフクロウなど。現在、屋外の5点が鑑賞できる。

 作者は彫刻家のロベルト・ベッシンさん。外国語指導助手で町内の中学校に勤務していた彼のいとこの紹介で、米国から工芸アドバイザーとして招かれた。1992年から3年間滞在し、特産の木工芸品「オケクラフト」の作家や町の人たちと、交流しながら作品を制作した。当時、オケクラフトセンター森林工芸館館長を務めた田村昌文さん(69)は、「ロベルトは環境に関心があり、大学では動物学を学んでいた。鳥の骨格標本を、博物館で熱心にスケッチしていたのが印象的です」と語る。

 「シロハヤブサ」は94年、おけと勝山温泉ゆぅゆのリニューアルオープンに合わせて制作された。この場所でロベルトさんが、空を飛ぶシロハヤブサを見たことが作品の由来になったという。青銅の棒をいくつも溶接した全長8メートルの巨大な作品。細かく張り巡らされた線は、繊細に羽の模様まで表現している。支配人の野里智晃さん(49)は、「どの角度からも見られるように考えられている。お客さんに親しまれる、この場所のシンボルです」。

(町田あさ美)

 置戸町

 北海道東部に位置する、林業と農業が盛んな町。面積は527.27平方キロ。総人口は約3千人。町の中心を抜けると、砂糖の原料になるビートや小麦の畑が広がる。樹齢200年を超える大木「三本桂(かつら)」が生える「鹿の子沢」や、冬はワカサギやニジマス釣りができる「おけと湖」などがある。毎年6月には、丸太を載せたそりをひく名物イベント「人間ばん馬大会」が開催される。

 《アクセス》女満別空港から車で約1時間20分。北見駅からバスで約1時間。


ぶらり発見

白樺ニマ

 作品があるおけと勝山温泉ゆぅゆ(TEL0157・54・2211)では、日帰り入浴(500円)や食事ができる。午前10時半~午後10時。無休。併設された4棟のコテージで宿泊も可能。置戸町役場から徒歩3分のオケクラフトセンター森林工芸館(TEL52・3170)では、町内の工房で製作された食器などが購入できる。同町産の白樺(しらかば)をくりぬき舟形の器にした「白樺ニマ」(写真、13~16センチ、3456円)は、滑らかな曲線と縁の樹皮が特徴。午前10時~午後6時。(水)と年末年始休み。

(2017年12月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)