「カーン」「ポコッ」。神戸ハーバーランドにあるショッピングモールの広い通路に、ユニークな音色が響く。
音の主は、米国の芸術家、ジョージ・ローズ(1926~)のオブジェだ。
高さ7メートルの鉄塔の中には鉄のレーンが巡らされ、モーターで運ばれた樹脂製のボールがレーンを伝って落ちる。その間にカウベルや鉄琴にぶつかって音を奏で、また上に運ばれていく。その繰り返しだが、レーンは枝分かれしており、ボールがどこを通るか分からず見ていて飽きない。
92年に設置された本作は、瞬く間に人気者になった。2年前に修理のため米国に里帰りした際には、置いてあった場所に立ちすくんで泣きじゃくる子どももいたという。管理を行う三菱倉庫神戸支店の稲毛尚之さんは、「作品を守る使命を感じました」と語る。夜になると、仕事帰りの若者が待ち合わせ場所に使っていることを知り、昨夏復帰してからは、LEDライトを点灯している。
神戸で大学時代を過ごした、兵庫県尼崎市在住の西山久江さん(42)が2人の子どもと見に来ていた。「ここのシンボルと言ってもいい作品。大好きでよく見に行っていました。子どもと来られたらいいなぁという夢が、今日かなった」と笑顔で話していた。
(西村和美)
神戸ハーバーランド 1992年オープン。神戸中心市街地から西側にある、神戸港に隣接した複合商業施設からなるエリア。Din Donが設置されているショッピングモール「神戸ハーバーランドumie」など、約23ヘクタールに11施設がある。南端には、21年に建てられた「旧神戸港信号所」も。コンサートホールなどが入る「カルメニ」には、世界に3体しか存在しない公式エルビス・プレスリー像がある。 《アクセス》JR神戸駅から徒歩5分。 |
ハーバーランド内にある神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール(TEL078・341・8855)では、ジオラマや遊具があり、アンパンマンの世界を子どもから大人まで楽しめる。入場料1800円。入場無料の「ジャムおじさんのパン工場」では、キャラクターのパン(写真、310円~)が購入できる。
ハーバーランドから徒歩約20分。神戸風月堂ミュージアム(TEL321・5598)では、1927年に誕生した風月堂の銘菓「ゴーフル」の製菓道具や写真などを展示し、その歴史を紹介している。