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Work 2012 
三島喜美代作(東京都品川区)

今を映す巨大なくずかご

酒やバナナなどのパッケージが見える=相場郁朗撮影
酒やバナナなどのパッケージが見える=相場郁朗撮影
酒やバナナなどのパッケージが見える=相場郁朗撮影 近くのビルのはざまにある広場には、スタイリッシュな家具が並ぶ=相場郁朗撮影

 都心と羽田空港を結ぶ東京モノレールの天王洲アイル駅。高層のオフィスビル群を抜けると、思わず足が止まった。目の前に現れたのは、巨大なくずかご。162センチある記者の背丈を優に超えていた。

 ビジネスホテルチェーン「東横イン」の正面玄関前にたたずむ高さ2・5メートルのかごから飛び出すほど詰まっているのは、使い古しの段ボール箱。が、実はすべて陶で作られたアート作品なのだ。

 作者は、大阪市と岐阜県土岐市を拠点に国内外で活動する現代美術家の三島喜美代さん(85)。ホテルの新規開業に伴い、「存在感のあるモニュメントを」との要望に応えて制作、2012年に設置した。客を迎え入れる玄関前に大きなゴミ箱の作品――。「宿泊客に受け入れてもらえるか、初めは心配でしたが、逆に評判になりました」とホテル関係者は振り返る。

 三島さんは1970年代から「情報」「ゴミ」をコンセプトにした作品を多く手がけてきた。陶製の「やきもの」にシルクスクリーンで活字やパッケージデザインを転写し、古新聞や段ボール箱、空き缶などを再現する。情報やゴミが氾濫(はんらん)する社会に危機感を抱き、壊れやすい陶で表現しているという。「ゴミは『今』を映し出す。だからおもしろい」と三島さんは笑った。

(尾島武子)

 天王洲アイル

 幕末に、江戸幕府が黒船来襲に備えて品川沖に築造した未完の砲台跡地。その後埋め立て拡張した東京都品川区東品川の東京湾に面した22ヘクタールの工場跡地や倉庫街を、地権者の22社が再開発した。1991年以降は、高層ビルが立ち並ぶオフィス街に。各社が独自に「アートの街」を目指し、公園や広場を整備したほか、モニュメントなどを設置したという。

 《作品へのアクセス》東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩5分。「東横イン品川港南口天王洲アイル」正面玄関前。


ぶらり発見

チャコールグリルプレートランチ

 作品から徒歩3分、天王洲セントラルタワー・アートホール(TEL03・5462・8811)では、10月26日(金)まで「立花光朗 彫刻展」を開催。午前8時半~午後8時(10月26日は4時まで)。(土)(日)(祝)(休)休み。

 同タワー・キャナルガーデン1階には、オーシャンスタイルレストラン「RIDE」(TEL5781・2770)がある。昼時には特製のグリルで肉を焼き上げた「チャコールグリルプレートランチ」(写真、1600円、(土)(日)(祝)(休)は1800円)などが味わえる。午前11時半~午後10時。

(2018年8月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)