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ロドニー号 
元町6丁目商店街振興組合作(神戸・元町6丁目商店街)

商店街の「航海」見守る

完成時は電飾が施されていた=滝沢美穂子
完成時は電飾が施されていた=滝沢美穂子
完成時は電飾が施されていた=滝沢美穂子 神戸海洋博物館に展示中のロドニー号の模型=同館提供

 元町駅と神戸駅間に位置する全長1・2キロの神戸・元町商店街。西端にある元町6丁目商店街(通称モトロク)まで歩き、ふと見上げると、空中に漂う一隻の「船」が目についた。1987年に、神戸開港120年と6丁目商店街のアーケード完成を記念して作られた「ロドニー号」だ。当時の新聞には、「景気呼び込め ロドニー号」の見出しが躍り、造船・海運不況を吹き飛ばそうという意気込みが感じられる。

 モデルは、1868年1月1日、神戸開港を祝して港内で祝砲をあげた英国艦隊の旗艦だ。作品は、実物の14分の1の全長4・5メートル、地元の業者に依頼し、骨組みだけを鉄で再現している。設置に携わったマルヤ靴店の3代目片山泰造さん(66)は、「実は、からくり時計の予定だったけど、神戸にゆかりのあるものにしたくてね」と振り返る。

 作品設置後の商店街は一時、活気を取り戻したが、その後は経営者の高齢化により空き店舗が増えるなど、抱える課題は大きい。「三宮や元町からの観光客や、神戸ハーバーランドなどに流れる客を取り込みたい」と話すのは、息子の喜市郎さん(35)。昨年から商店街の運営は、30、40代が中心に担うようになった。

 喜市郎さんが、2011年から4年間行ったのが、空き店舗を活用して、関西の若手クリエーターを呼び込む事業だ。話題になると若い客が目立ちはじめ、独立して店を出す若者も現れた。

 ロドニー号は、そんな街の歴史と今後の「航海」の行方を、上空から見守っている。

(佐藤直子)

 神戸・元町商店街

 神戸の中心部に位置し、140年以上続く商店街。元町1、2丁目の1番街と、3~6丁目の商店街の5区画で構成される。創業145年のせんべい店「亀井堂総本店」など約20店の老舗をはじめ、洋菓子店、雑貨店、喫茶店など約300店が軒を連ねる。近隣には、旧居留地や神戸ハーバーランド、メリケンパーク、中華街の南京町などがある。

 《アクセス》元町6丁目商店街は西元町駅からすぐ。


ぶらり発見

ぬいぐるみ

 ロドニー号の模型が見られる神戸海洋博物館(TEL078・327・8983)は、元町6丁目商店街から徒歩15分。模型は実物の8分の1ほどの大きさだ。神戸港の歴史や船の仕組みなどを紹介。原則(月)休み。入館料600円。

 昨年、神戸開港150年を記念して作られた神戸タータン柄。海の青、真珠の白、ポートタワーや神戸大橋の赤、街並みのグレー、六甲山の緑をチェックで表現した。ぬいぐるみ=写真=や、菓子などを街中で購入できる。神戸タータン協議会事務局(TEL854・9701)。

(2018年11月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)