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ガラスの砂浜 
(長崎県大村市)

生物を育むカラフルな砂

ガラス砂は約30センチの厚さで敷かれている。半年ほどかけて、元の砂浜の上にまいた=楠本涼撮影
ガラス砂は約30センチの厚さで敷かれている。半年ほどかけて、元の砂浜の上にまいた=楠本涼撮影
ガラス砂は約30センチの厚さで敷かれている。半年ほどかけて、元の砂浜の上にまいた=楠本涼撮影 一粒一粒は角が丸まっていて触れても安全だ=楠本涼撮影

 長崎空港近くの砂浜が、季節外れのにぎわいを見せている。親子連れや若い男女が夢中でのぞき込んでいるのは足元。よく見ると、浜辺はカラフルな「ガラス砂」で覆われていた。

 ここは大村市の森園公園近く。大村湾に面して約210メートル続く「ガラスの砂浜」だ。色とりどりに光り輝く浜辺は、まさに「インスタ映え」。今年の春先にSNSで話題になった。

 そもそも、誕生したきっかけは、同湾に生物の生息場をつくるためだった。湾内の植物プランクトンなどを餌とする、アサリをはじめとした二枚貝を増やす計画が持ち上がった。

 アサリの幼生は約1ミリの粒に着底しやすいため、家庭から出た空きビンでガラス砂を作った。県が6500万円かけてまいたのは2016年のこと。県環境保健研究センターの粕谷智之さん(51)は、「今年は、1平方メートル当たり185個のアサリが確認されました」と成果を語る。アサリが増えたうえ、観光客の増加という副産物も生まれた。「親水性を高める目的もあったので、ぜひ砂浜を楽しんでほしい」と粕谷さんは予想以上の反響を喜ぶ。

 20代前半のカップルが佐世保市から遊びに来ていた。男性が「幻想的ですね」と砂浜を見渡すと、隣の彼女も笑顔でうなずく。周囲は、秋の陽光を浴びたガラスのかけらがキラキラと光っていた。

(星亜里紗)

 大村湾

 長崎県の中央部に位置する海湾。南北約26キロ、東西約11キロあり、長円形のような形状をしている。外海との接点は針尾瀬戸と早岐瀬戸のみの閉鎖性海域で知られる。身がやわらかいナマコをはじめ、シャコ、ウニ、イイダコなどが特産品。平均水深14.8メートルと、比較的浅い海域である。浅瀬は、1975年から32年間で約25%が埋め立てられた。同年に開港した長崎空港が湾内にある。

 《ガラスの砂浜へのアクセス》長崎空港から車で約5分。


ぶらり発見

押しずし

 大村市の郷土料理を味わうなら、大村駅から徒歩10分の大村ずし ぎおん(TEL0957・54・6330)へ。大村ずしは、戦国時代に将兵らが脇差しで四角に切って食べたのが由来とされる押しずし。煮付けたゴボウやかんぴょうが入り、上に錦糸(きんし)卵がのっている。1個162円=写真=で販売するほか、冷凍商品の全国発送も。

 森園公園の横にあるサンスパおおむら(TEL50・1171)は、天然温泉をはじめ、カラオケ、ゲームセンター、グルメなどのスポットがそろう。温泉の入浴料は、中学生以上650円ほか。

(2018年11月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)