静かな住宅街の一角。東京都練馬区立美術館につながる「美術の森緑地」に足を踏み入れると、不思議な生き物たちの彫刻群に出会った。中央には、絵の具のパレットのようにカラフルに彩られたキリン。ポールの上にはテナガザルも。散策すると次々に現れるライオンやゾウ、トラ、ペンギンなど計21種類。作品は自由に触れていい。園内には、作品にまたがったり、触ったりしてはしゃぐ子どもたちの声が響いていた。
「キリン」を含む15種類の作品を担当したのは、同区にある日大芸術学部の教授で彫刻家の鞍掛純一さん(51)だ。同美術館の元館長、若林覚さん(69)と共に、彫刻群を設置するリニューアルを提案した。町の商店街や区と一緒に構想を立て、約2年をかけて2015年4月に実現。木々に囲まれ閑散としていた緑地は、家族や子どもたちが集まる明るい場所へと姿を変えた。
作品の多くは目の色が黒ではない。それは、できるだけ固定観念にとらわれて欲しくないという思いから。「どんな色を使ってもいいんだという、子どもたちが自由になる入り口をつくりたかった。ここは美術館の入り口でもありますから」と鞍掛さんは言う。
中央の階段の先は美術館。いつか階段を上る未来の芸術家がいるかもしれない。
(町田あさ美)
練馬区立美術館 1985年10月1日に開館。日本近現代美術を中心に所蔵。展覧会に関連したギャラリートークやコンサートなども催している。展示室の一部は貸し出し、区民の制作発表の場として利用される。開館30周年にあわせてリニューアルした練馬区立美術の森緑地では、美術館のロゴマークをもとにしたキャラクター「ネリビー」が案内役を務めている。 《作品へのアクセス》西武池袋線中村橋駅から徒歩2分。 |
中村橋駅南口から徒歩1分。地元の人から長く愛されるYOU(TEL03・3999・0539)は、大正時代創業のパンとケーキの店。「思い出モンブラン」(写真、380円)は、黄色いマロンクリームと栗の甘露煮が懐かしくて購入していく人も。午前7時半~午後8時半((日)(祝)は午前8時~午後8時)。
家族連れで楽しめる遊園地としまえん(TEL3990・8800)は、作品から車で15分ほど。2月28日まで「屋外アイススケートリンク」を開催。時間、料金は問い合わせを。