秋田県能代市は「バスケの街」だ。能代工業高校バスケットボール部は、全国制覇58回。日本人初のNBA選手で、現在は日本のプロリーグ「Bリーグ」選手の田臥勇太は、同校で3年連続全国優勝を経験した。1988年からは全国の強豪高校が集まる大会「能代カップ」が開催されるように。公園や能代駅ホームには、バスケ用のリングが取りつけられている。
そんな市内の中心部、柳町商店街の花屋「フローラ小野」の白い外壁には、NBA選手と思わしき人物の横顔が描かれている。2016年、ストリートアーティストのMOT8さんが、バスケをテーマに約1カ月滞在して制作した壁画の一つだ。地域おこし協力隊員だった西村武美さん(34)が「芸術で街を明るくしたい」と考え、知り合いだったMOT8さんを招いた。バスケ好きの花屋店主、小野志保子さん(68)は、どんな絵かも知らずに、「ぜひ、うちの店に」と手を挙げた。「『目』から描き始めたの。どうなるの?って不思議だったわ」と楽しそうに振り返る。
制作が始まると道行く人が足を止め、ライブペインティングに見入った。足場建設など街の人たちは協力を惜しまなかった。完成後、照明がつけられ、夜間も壁画を照らしている。滞在を終え、帰宅したMOT8さんの元には、能代の人から感謝の手紙とミカンが届いたという。「壁画は決して一人ではできないんだと再認識させられました」
(井上優子)
能代カップ高校選抜バスケットボール大会 5月3~5日、市総合体育館とアリナスで開催。能代工のほか、愛知県、福岡県などの男女11チームが参加。1000円。 《アクセス》 能代駅から徒歩10分。 |
能代駅から徒歩5分。能代バスケミュージアム(問い合わせは0185・88・8876)には、バスケ関連書籍、NBAや能代工グッズがそろう。この建物のシャッターアートもMOT8さんが手がけた。
同館から徒歩6分の菓子店セキトに、バスケにちなんだ最中がある。半球形の二つの皮に、自分であんこを詰めて形を合わせると「バスケットボール」の出来上がり=写真。1個240円。能代工とコラボした箱も今月登場。問い合わせはバイパス店(問い合わせは54・3131)。