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スパイラル・リングG
木戸修作(群馬県前橋市)

人と人をつなぐ巨大な「瞳」

県民を見守る「眼差(まなざ)し」のよう=横関一浩撮影
県民を見守る「眼差(まなざ)し」のよう=横関一浩撮影

 上毛電鉄の中央前橋駅に降り立つと、赤城山だろうか、山の稜線(りょうせん)が目に入る。20分ほど歩き、群馬県警本部を訪ねた。1階エントランスホールには、渦巻く謎の物体。巨大な目のようだ。吹き抜けの最上階にあたる10階の天井部分からワイヤでつるされたステンレスのオブジェだった。

 直径2メートル、奥行き60センチの本作は、長野県佐久市にアトリエを構える彫刻家、木戸修さん(69)が1999年に制作した。県警本部と隣接する県庁舎の建て替えを機に、県が立案した「新庁舎アート計画」によって設置された作品群の一つ。

 自然界には、つる草のように多くのねじれや回転が生じていると気づいた木戸さんは、80年代から「螺旋(らせん)」をテーマにした彫刻作品を手がけてきた。螺旋の動きを表す曲線の角度などは主に、三角関数を応用し、独自に構築したプログラミングで導いて図面化する。本作は、展開図をもとに長さ1メートルほどに切り分けたステンレス板のパーツ60枚を溶接し、一枚板にしたものを造形した。三つのリングが重なるように見えるが、一続きでできている。「人と人のつながり」「悠久の時間」を表しているという。

 県警本部に勤務する男性警部補(40)は、「いまや県警本部のシンボルです」。ガラス張りの天井から降り注ぐ陽光を受けて、渦巻く「瞳(ひとみ)」はきらきらと輝いた。

 《アクセス》 JR前橋駅からも徒歩20分ほど。

(尾島武子)

 群馬県「新庁舎アート計画」

 1999年の新庁舎落成に伴い、庁舎内を中心に周辺の県警本部や議会庁舎に彫像や壁面レリーフなどを設置した。今では25件を数える。


ぶらり発見

まえとん咖哩飯(カリーめし) 県庁舎では、行政サービスのほか、31階のレストランも利用できる。前橋市内で開催する豚肉料理コンテスト「T-1グランプリ」で、グランプリを獲得した「まえとん咖哩飯(カリーめし)」(1188円)は、欧州料理レストラン ヴォレ・シーニュ(問い合わせは027・220・1600)で。午前11時半~午後8時半。第2、第4(月)[(祝)(休)の場合は翌日]休み。

 7月4日(木)~7日(日)、同市の中心市街地で前橋七夕まつりを開催。商店街や市内の保育園児がつくった竹飾りなど650本が街を彩る。問い合わせは前橋商工会議所内事務局(027・234・5108)。

(2019年6月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)