アートリップ

Enso/Lifecycle
イーサン・エステス作(新潟県佐渡市)

輝く湖面に浮かぶ「禅画」

  • 舟小屋内部の公開は午前10時~午後5時ごろ。10月6日まで展示

 新潟港から高速船ジェットフォイルで約1時間。佐渡島の表玄関・両津港に着いた。初秋の日差しを浴びながら、幹線道路を30分ほど歩くと、汽水湖で日本百景の一つ、加茂湖が目の前に。湖畔にたたずむ古びた舟小屋の中には、きらめく湖面を背景に禅画の「円相」のような景色が広がっていた。梁からワイヤでつり下げられた直径2メートルの円。近づくと、古いロープの束だった。

 作者は、米国在住の海洋科学者でアーティストのイーサン・エステスさん(30)。日本海を北上するクロマグロの研究のため、5~7月に水揚げが盛んな佐渡を訪れるようになった。今年制作した本作は、漁船の甲板にあるコイル状のロープから発想したという。廃棄されていたプラスチック製の釣り用ロープを使った。「円」の形には、プラスチックのリサイクルを願う気持ちも込めている。

 サーフィンが趣味のエステスさん。波乗り後は、手に持てる範囲でゴミを拾って帰るという。サーフィン仲間の伊藤渉さん(37)は、「拾ったゴミがこんなアートに変わるんだな」と感心する。

 展示場所は自然と人間、海と陸の境目だ。制作を依頼した「さどの島銀河芸術祭」の発起人でアートディレクターの吉田モリトさん(47)は、「人間と海の関わりを考えさせる彼の作品は、佐渡の自然にぴったりでした」と話す。

(牧野祥)

 《アクセス》 佐渡・両津港から車で5分。

 さどの島銀河芸術祭

 2021年の「本祭」に向けて、16年から毎年期間を設けて「プレ祭」を開催。島内の複数箇所で作品の展示やイベントを行う。


ぶらり発見

カヤの実 島南部の赤泊で採れるカヤの実=写真手前。香ばしく歯応えがある。この実を使ったかりんとう=同奥=は、両津港ターミナル待合室の売店などで。砂糖味100g、塩味85gで、各400円前後。

 岩首昇竜棚田は両津港から車で約1時間。標高30~470メートルの山間に460枚ほどの田が広がる。地元ガイドによる案内も(要予約。2人からで1人2300円)。問い合わせは佐渡観光交流機構(0259・27・5000)。

(2019年9月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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