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虹の防人(さきもり)
會田雄亮作(山形市)

陶で描いた夜明けの階調

高さ11メートル。切り口がアーモンド形の柱で、基壇は階段状になっている
高さ11メートル。切り口がアーモンド形の柱で、基壇は階段状になっている

 〽ひんがしに蔵王を望み 西の空 月山は呼ぶ――。JR山形駅改札を出て西口へ。自由通路のガラス越し、朝日連峰や山形市民の歌に歌われた月山を借景にたたずむ、色鮮やかなモニュメントに目を奪われた。

 同市は、山形藩57万石の城下町。駅東側は、藩主・最上義光が羽州街道沿いに町人地を形成して以降、商業の中心地としてにぎわう。一方、西側の旧武家地は長らく、JR関連施設や大規模工場などが立ち並んでいた。二分した街をつなぎ、活性化するために西口の土地区画整理事業が進められ、2001年にランドマークの官民複合ビル「霞城セントラル」がオープン。多目的広場に本作が設置された。

 作者は、陶芸家・會田雄亮(あいだゆうすけ)(1931~2015)。元東北芸術工科大学長で、異なる色の土を重ねて模様を作る「練り込み」の作品で知られる。本作も、青や虹色の陶磁ユニットが層状に張られ、美しいグラデーションが際立つ。石膏(せっこう)で40ほどのアイデア模型を作り、試行錯誤を重ねたという。會田は生前、広報誌の取材に「市民の先頭に立って夜明けを切り拓(ひら)く先達を表現した」と語っている。妻・暁美さん(76)は「人々や社会と陶の関わり、それを通して培われる文化を常に考えている、と話していました」と当時を回顧した。

 作品の周囲には円弧を描いたベンチが配され、学生たちが座って語らう姿があった。市民の「憩いの場」を願った會田の思いは実を結んだようだ。

(井本久美)

 霞城セントラル

 山形県や山形市の関連施設、単位制高校や放送大学の教育機関、映画館、ホテルなどが入る。24階の展望ロビーからは市内が一望できる。


ぶらり発見

 霞城セントラルから徒歩5分。山形城跡の霞城公園は約1500本の桜が植わる花の名所。冬の雪化粧も風情がある。問い合わせは山形市観光案内センター(023・647・2266)。

山形づくし 駅から徒歩15分。1885年創業の漬物処(どころ)やたら漬が運営する香味庵まるはち(問い合わせは634・4108)では山形の郷土料理が味わえる。「山形づくし」(写真、1980円)は、芋煮やひっぱりうどん、漬物寿司などが堪能できる。午前11時半~午後2時、5時~8時半。原則(水)休み。

(2019年10月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)