アートリップ

クリスタルアース
輝きのスポットを創る会作(甲府市)

32面体水晶を磨いた職人技

  • 作品内部には県特産のブドウをイメージした約900個の紫水晶が配置されている=外山俊樹撮影

 甲府駅の雑踏を抜けると、構内の一角に直径1.2メートルの輝く球体が現れた。朝日を浴びてきらめくのは6千個を超す水晶片。宝石のまち・甲府市をアピールしようと、2010年に設置されたモニュメントだ。

 経済産業省の工業統計調査によると、山梨県の17年の貴金属・宝石製装身具出荷額は全国の19%を占める。同市には宝飾店が立ち並び、日本で唯一の公立のジュエリー専門学校もある。

 本作の制作が官民共同事業として決まったのは07年のこと。翌年、山梨経済同友会が中心になり、水晶宝飾連合会(現・県水晶宝飾協同組合)などと「輝きのスポットを創る会」を発足させた。制作費は約4千人と300超の企業からの協賛金を充てた。

 デザイン、設計は佐野建築研究所の志村浩男さん(65)が担当。制作には県内約30人の研磨職人が協力した。水晶を直径1.5センチ、32面体のピースにそろえて磨き上げ、上からつるしたステンレスワイヤに通していく。日中の仕事を終えた職人たちが夜間に集まり、1カ月半かけて完成した。

 半分ほどできたところで、工事業者がよろけて約3千本のワイヤが絡まるハプニングも。全ての水晶を取り除き、やり直した。

 リーダーとして連日通った深澤陽一さん(52)は、「みなボランティアで、熱意で作り上げた。楽しかったね」と振り返る。
 作品は15分ごとに数分間LEDライトで照らされる。周囲のベンチで休んでいた人たちが光の演出を眺めていた。

(小森風美)

 山梨県の宝飾産業

 かつては甲府市北部・金峰山一帯で水晶が採れた。採掘の最盛期は明治20年代ごろ。研磨技術が発達し、宝飾品製造が盛んになった。


ぶらり発見

くろ玉 甲府駅から徒歩12分、1911年創業の和洋菓子店、澤田屋本店(問い合わせは055・235・1331)では、青エンドウ豆の餡を黒糖羊羹で包んだ「くろ玉」(写真、税別110円)が人気。午前9時~午後7時。来年1月1日休み。11時~5時、その場で羊羹を絡める「できたてくろ玉」も。

 老舗ワイナリーのサドヤ(問い合わせは251・3671)は同駅から徒歩5分。ワインショップやレストランがあるほか、地下セラーの見学ツアーも行う(要予約、千円)。1月1、2日休み。

(2019年11月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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