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Milk Run Sky 2002
ジェームズ・タレル作(熊本市)

天井に広がる四角い「青空」

奥の本棚は、マリーナ・アブラモビッチ作「Library for Human Use」の一部
奥の本棚は、マリーナ・アブラモビッチ作「Library for Human Use」の一部

 熊本城の足元を走る路面電車の通町筋電停からすぐ。熊本市現代美術館の図書スペース「ホームギャラリー」では、来館者が読書に没頭したりまどろんだり、思い思いに過ごしていた。頭上に目をやると、抜けるような「青空」が。天井の2×3・5メートルの四角い空間に広がる青色の光は、午後7時半になると、緑色からあかね色へゆっくりと移り変わり、一日の終わりを告げた。

 14階建てビルの3階にある同館で「空」を表現したのは、光をテーマに制作する米の美術家、ジェームズ・タレル(1943~)だ。本作を「Milk Run Sky 2002」と名付けたタレルは、かつて生乳を集めて回るパイロットだった。霧と雲の間を飛ぶ飛行機内で見た、包み込まれるような光を表したという。

 作品が制作されたのは、2002年の同館開館時。現代美術は難しいというイメージを払拭し、市民に開かれた美術館を目指して、誰もが無料で利用できるホームギャラリーを設置。本作を含め4点の現代美術作品を配した。「タレル作品の中でも、この作品は日常の延長にあり、親しみやすい」と、学芸員の坂本顕子さん(43)。ボランティアによるピアノ演奏や、映画の上映、ワークショップなども開催され、様々な利用目的を持った来館者が集まる。

 美術と図書館が好きで来館した福岡市の吉田奈央さん(23)は、「開けた空間が気持ちいい」と話す。「青空」を見上げ、再び手元の本に目を落とした。

(山田愛)

ぶらり発見

 熊本地震で被害を受け非公開となっていた熊本城(問い合わせは096・352・5900)が、10月から一部を特別公開。天守閣へは入れないが、復旧の様子を間近に見ることができる。原則日、祝のみ。高校生以上500円。

馬肉メンチカツ 城に隣接する城彩苑では、熊本の名産品がそろい、食べ歩きを楽しめる。馬肉専門店の菅乃屋(問い合わせは312・0377)の馬肉メンチカツ(写真、250円)は、一口かじると馬肉の肉汁がしたたる。

(2019年11月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)