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アートリップ

織物のフォリー
松岡恭子作(福岡市東区)

交差する線、実は休憩所

  • 高さ3・5メートルほど。内側にはアルミ製のベンチもある

 バスの車窓に、博多湾岸の倉庫や工場群が流れていく。その先にあるのは福岡市東区の人工島アイランドシティ。広々とした中央公園の一角に、休憩所「織物のフォリー」が立つ。幾本もの線が重なり、編みかごのようにも見える。

 本作を手がけた建築家の松岡恭子さん(55)は素材に、さびにくいアルミを選んだ。アルミパイプを交差させたり重ねたりして組み合わせ、強度を高めた。「地面に垂直に立つパイプは無く、斜めの線同士が支え合う。細い糸を縦横に織った丈夫な布のようです」

 設置したのは、人工島の住宅エリアに入居が始まった2005年。「全国都市緑化ふくおかフェア」会場として公園が整備されたのを機に、園内4カ所にフォリーを配置。建築家の伊東豊雄さん(78)が発案した地元学生とのワークショップから、本作のコンセプトの「織物」が生まれた。

 休憩所とはいえ、屋根や壁が無く雨風はしのげない。そもそもフォリーとは、庭園にある装飾用建造物のこと。松岡さんは「光や風を感じながら、特別な時間を過ごす場に」と意図を語る。

 冬晴れの昼、フォリーの中から公園を眺めた。散歩をする人がゆったりと通り過ぎ、遠くの空を飛行機が横切る。いつの間にか、地面に伸びる「織物」の影が少し動いていた。見上げると、銀色の「線」越しに、優しい日差しが注いだ。

(木谷恵吏、写真も)

 《アクセス》天神駅からバスで25分ほど。

 アイランドシティ

 博多湾東部を埋め立て、国際コンテナターミナルのほか、住宅地などを整備。現在の人口は約1万人。病院や青果市場も移転した。


ぶらり発見

 公園内にある体験学習施設ぐりんぐりん(問い合わせは092・661・5980)は、地面が隆起したような外観が特徴。温室では、大型のチョウ「オオゴマダラ」が飛び回る。15歳以上100円ほか。午前9時~午後5時。原則(火)、年末年始休み。

がま口やブローチ 織物といえば博多織。西鉄福岡(天神)駅直結の福岡三越地下1階、ふたくちは織元直営。がま口やブローチ(写真、いずれも1650円)などを販売。問い合わせは福岡三越(092・724・3111)。1月1日休み。

(2019年12月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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