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開花
サハンド・ヘサミヤン作(奈良市)

古都に根ざすハスの花

イランで制作、完成後に分割して日本へ運んだ。夜はライトアップされる
イランで制作、完成後に分割して日本へ運んだ。夜はライトアップされる

 江戸時代末期から明治時代にかけての風情が残る、奈良市の旧市街「ならまち」。町家の間を抜けていくと、巨大なこまのような物体が現れる。高さ約2・7メートル、重さ約620キロ。ステンレス製のハスのつぼみだ。

 2016年、文化交流事業「東アジア文化都市」の一環として、市内八つの社寺や市街地に現代美術の展示などをする「古都祝奈良」を開催。そのうち世界遺産の興福寺で展示されたのが本作だ。作者はイラン人のサハンド・ヘサミヤンさん(42)。15年に奈良を訪れ、故国のモスクなどで装飾に用いられるハスの文様が、仏教美術でも使われる共通する意匠であることを知った。「インド原産で広く東西に伝播したハスは、日の出とともに咲き、太陽を連想させる。清らかさや聖性のシンボルです」とヘサミヤンさん。「奈良はこの作品の故郷」と展示終了後に市に寄贈、ならまちセンター前に設置されることになった。

 初めは違和感を指摘する声もあったというが、「写真を撮る人を見かけると、風景の一つになりつつあるのを感じる」と、市文化振興課の吉川友子さん(51)。オーストラリアから観光に来たケイト・マクマホンさん(47)は「古い町並みと現代美術が一緒に存在しているのが美しいですね」と話す。ここからは興福寺の五重塔も望める。その方向へ花開こうとしていた。

(伊藤めぐみ、写真も)

 《アクセス》近鉄奈良駅から徒歩10分。

 ならまちセンター

 市民ホールや図書館が入る複合施設。1階のレストラン「コトコト」では、大和野菜や大和牛など奈良産の食材を使った料理を提供する。


ぶらり発見

 古都祝奈良 2019-2020が2月1日(土)まで開催中。今回はインドネシアを拠点に活動する美術家・北澤潤らが、ならまちセンター芝生広場など奈良市内各所でアートプロジェクトを展開する。問い合わせは実行委(0742・34・4942)。

たい焼き 作品から徒歩2分、こたろう(問い合わせは090・3238・0297)では、注文を受けてからたい焼き(200円)を焼く=写真。羽根付きのパリッとした食感。午前10時~午後5時。不定休。

(2020年1月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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