深川伊勢屋さんのすあまは手でちぎると伸びすぎないで、いいところで切れる。見た目も上品すぎず、かといって安っぽくない。中間でちょうどいいです。
もともと和菓子は好きです。昔、浅草の団子屋でアルバイトをしていました。催事があると、全国各地のデパートに派遣されて、函館に団子を焼きに行ったこともあります。
でも、どれか一つあげるとすれば、すあま。和菓子屋に行くと必ずと言っていいほどあって、ショーケースの下のほうで「すみません、すあまですけど」というたたずまいをしている。味も見た目も素朴で目立たないけど、気になるんです。
子どもの頃、家の近くのパン屋でも売っていて、よく食べていましたね。今でも、出先で買って歩きながら食べます。手軽に食べられて腹持ちがいい。存在感は薄いけど重量感はあるんです。
◆本店 東京都江東区富岡1の8の12(TEL03・3641・0695)。
130円。
午前8時~午後8時半。
大丸東京店、高島屋日本橋店でも販売。
いぬい・あきと 小説家、脚本家。
「のろい男 俳優・亀岡拓次」(文芸春秋)を11月に発売。