楽しく会話をしながらとか、仕事が一段落した後とか、食べている時の雰囲気や状況、体調など全部が合わさって「味」になると思うんです。10年ほど前に初めて食べた時、それが僕にとって「ちょうどいい味」だったから、より印象深く記憶に残ったのかもしれません。
まず、餡(あん)がとてもおいしい。小豆の粒が混ざったやわらかい餡の甘み、多すぎず少なすぎない量もバランスがいい。
それから食べやすいサイズ。直径約6センチと手のひらに載るくらいの大きさで、もちっとした生地は、ぽろぽろこぼれないから、片手に持って仕事をしながら食べられるのもいいですね。ご飯の前でも1個だったら許されるかな。本当なら5個はいけると思いますが……。
昔から和菓子にもコーヒーなんです。深煎りのコーヒーをいれて、おいしい和菓子をいただく、それが僕にとっては大変贅沢(ぜいたく)な時間です。
◆東京都世田谷区成城6の5の27(TEL03・3483・5537)。
140円。
店内の茶房でも注文可。
午前9時~午後8時。(茶房は7時10分ラストオーダー)
ほりえ・としゆき 作家。
著書に2001年芥川賞受賞作「熊の敷石」など。「その姿の消し方」(新潮社)が発売中。