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三遊亭小遊三さん
「みどりや」の笹子餅

「みどりや」の笹子餅
「みどりや」の笹子餅
「みどりや」の笹子餅 三遊亭小遊三さん

 「あんこ」とかけて「いい女」ととく。その心は「すぐ手を出す」。そのくらい、あんこは好きですね。

 僕が小学生の頃は戦後10年前後。あんこは正月くらいしか食べられなかったから、ごちそうだし、憧れの食べ物だったの。暮れにね、家で正月用のあんこを作ってたんだけど、台所でゆであがった小豆を狙ってて。それをおわんに1杯もらって、砂糖を入れてかき回して食べたな。おいしかったね。

 笹子餅を初めて食べたのは中学生のときだったかな。所属していた卓球部の試合で年に2、3回、中央線に乗って甲府に行くことがあってね。甲府へ行く途中の笹子駅ホームで売っていたんですよ。行きはこれから試合だから食べられないんだけど、帰りに買って卓球部の仲間で食べるっていうのが至福の時で。つぶあんが入った草餅なんだけど、周りに白い粉がついてて、食べると学生服が真っ白になるの。一人2個くらいずつ食べたかな。その日に餅をついて作っているから、すぐ硬くなっちゃうんだよね。素朴だけど上品な甘さで、いまだに好きですよ。

 

◆山梨県大月市笹子町黒野田1332(TEL0554・25・2121、FAX25・2166)。
 5個入り430円、10個入り860円。
 午前7時~午後6時(売り切れ次第閉店)。
 電話やファクスでも注文可。


 さんゆうてい・こゆうざ 落語家。
 9月6日(水)午後6時半、東京都千代田区の国立演芸場で「小遊三の会」を開催。演目は「寝床」「金明竹」。

(2017年7月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)