缶を開けると、雲がたなびいていたり、花があったり、遊びがあって粋ですよね。らくがんや金平糖などがアクセントになっていて一つの絵にも見える。だから、缶のままお客さんに出すと喜ばれます。約30種あるので初対面の人でも、何の味かしらと会話の糸口のきっかけになるのもいいんです。
落語家仲間は粋な人が多いからみんな好きなんですよ。「もらっちゃった。きくのやの缶、いいねぇ」なんて言ったりして。
私が前座だった頃、師匠のリクエストのお菓子を求め、電車でおつかいに行っていました。当時は、なぜわざわざ遠方に行くのか不思議でしたが、今ならそれもよくわかる。師匠によく言われたんですよ。「口はおごってなくちゃいけないよ」って。この冨貴寄のように、おいしいものをいっぱい知っていないと芸につやがでないということですね。私たちは口の商売なので。
このお菓子で謎かけですか?
では、菊廼舎の冨貴寄とかけて古典落語と解きます。その心は――。いいネタがたくさん詰まってます。
◆銀座本店 東京都中央区銀座5の銀座コア地下1階(TEL03・3571・4095)。
夏色缶210グラム1998円=写真。30グラム260円~。季節により内容が異なる。
午前11時~午後8時。
はやしや・きくおう 落語家。
日本テレビ系「笑点」に出演中。近著に「林家木久扇 バカの天才まくら集」(竹書房文庫)。