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中野量太さん
「パティスリーアノー」の宿(しゅく)プリン

「パティスリーアノー」の宿プリン
「パティスリーアノー」の宿プリン
「パティスリーアノー」の宿プリン 中野量太さん

 家から行きやすいおいしいケーキ屋さんを探していて見つけたお店です。プリンは有名店も含めていろいろ食べてきたけど、ここのは絶品。バニラビーンズたっぷりのなめらかなプリンと、上にかかったカスタードソースの2層で攻めてくるんです。とろっとクリーミーなソースをすくうと生クリームが顔をのぞかせて。舌触りに意外性があって二度楽しめます。幸せな気分になりますね。

 しょっちゅう食べるというよりは、仕事を終えたときなどのご褒美に食べたくなります。特別感がありますね。特に脚本を書き終えたとき。相当なエネルギーを使うので甘いものが欲しくなります。

 僕は家族をテーマに映画を撮っています。食卓のシーンは欠かせません。公開中の「長いお別れ」ではスイーツもいくつか登場しています。父親の70歳の誕生日ケーキ、長女が帰国して早々に喫茶店でバクバク食べるパフェ、次女が恋人と前妻との間の子どものために作った切ないクッキー。食事はもちろん、スイーツも家族のつながりを象徴するものなのかもしれませんね。

◆川崎市多摩区宿河原2の4の16(問い合わせは044・742・7575)。
1個324円。
午前10時~午後7時。


 なかの・りょうた 映画監督、脚本家。
 1973年生まれ。代表作に「湯を沸かすほどの熱い愛」。認知症になった父親とその家族の7年間を描いた「長いお別れ」が公開中。

(2019年7月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)