さっと焼き上げた生地の間にさっぱりとしたカスタードをはさんだだけのシンプルな作り。他の店ではフルーツを乗せたりしていますが、そういう飾りが一切ない。こびていないんですよね。必要最低限のものだけをきちんと入れているから、生地にしみこんだラム酒が際だっておいしい。この大きさを、食が細くなった今でも食べきれるんですよ。
この店を知ったのは十数年前。「フレッシュで、大きいサイズのケーキを、目の届く範囲で提供したい」というパティシエの話を聞いたことがあって、信念を持った仕事ぶりにひかれたんです。
自宅からもオフィスからも近くはないですが、毎年、お中元やお歳暮、妻のバースデーケーキをお願いしに行っています。長い付き合いなので、たいていのリクエストには応えてくれるんですよ。かつてお茶会の場で、生チョコレートを作ってもらったことも。
サバランはベーシックなお菓子。それを長く作り続けて大切にしている。新しさにばかり目を向けていないところは、すごくうれしいです。
◆東京都台東区谷中7の19の5(問い合わせは03・3827・8584)。
580円。
午前10時~午後6時。
原則(月)((祝)の場合は翌日)と第3(火)休み。
なかの・ひろみち ファッションデザイナー。
1951年生まれ。99年春夏パリコレクションに初参加。学生服のデザインなど数多くのライセンス商品を手掛けるほか、ファッションコンテストの審査員も務める。