お茶に求めるものは、飲んでしばらくたってからも広がる香りや、長く心地よく続く後味。クロワッサンに求めるものは、サクサクの食感や香ばしいバターの風味。これはその全てを兼ね備えています。軽く焼くと、抹茶そのもののように濃厚なチョコレートがクロワッサンに溶け込み、一体感が出て食感も香りも一層よくなります。正直、ここまで好きになるとは思っていなかったですね。
初めて口にした瞬間、念願の日本に来た13年前を思い出しました。その頃は和菓子や抹茶味のお菓子がどこでも手に入るのがうれしくて、たくさん食べました。日本での生活が長くなり、積極的に口にする機会は減りましたが、このクロワッサンで抹茶のお菓子のおいしさを再発見したような気がします。
高校の世界史で明治維新後の日本について学び、お茶や日本文化に興味を持ちました。大学は日本語学科に進み、岐阜大に1年間留学もしました。日本の伝統文化に西洋の技術や思想が混ざっていく近代化の過程はとてもおもしろい。このクロワッサンは、そんな和洋折衷を具現化したお菓子ですよね。
◆東京都中央区日本橋室町2の1の1、日本橋三井タワー1階(問い合わせは03・6262・3224)。
500円。
午前8時半~午後8時(土日は10時から)。
ブレケル・オスカル 日本茶インストラクター。
スウェーデン出身。大学卒業後、日本企業に就職して来日。日本茶インストラクターの資格を取得し、国内外で日本茶の普及に携わる。著書に「ブレケル・オスカルのバイリンガル日本茶BOOK」(淡交社)など。