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森見登美彦さん
「不二家」のペコちゃんのほっぺ

「不二家」のペコちゃんのほっぺ
「不二家」のペコちゃんのほっぺ
「不二家」のペコちゃんのほっぺ 森見登美彦さん

 大学生のころ、当時付き合っていた妻にお土産で何か買おうと思っていたら、近所の不二家が目に入ったんです。全体的にピンクでファンシーな店内に、ぼんやりしたおじいさんが1人。その不思議な感じに引き寄せられるように店に入りました。

 商品名から妻のほっぺたを連想して、これを買ってあげたら面白いんじゃないかと思って。恥ずかしいことを言うようですけど、僕、妻のほっぺたが好きやったんですよ。あ、でも妻だけじゃなくて、妹のほっぺたも突っついてましたけどね。

 見た目はパンっぽくて軟らかそうに見えないのに、食べたらほわほわ。90年代の最新の技術力で、最先端の軟らかさを追究しましたっていう感じがいいんですよね。

 あのおじいさんは僕を「ペコちゃんのほっぺ」に目覚めさせるためにこの世に現れた、亡くなった先代の店主だったのかもしれません。 

 

 ◆1994年発売。
  カスタード、チョコクリームのほか、季節限定品も。
  100円。
  問い合わせはお客様窓口(0120・047228、午前9時~午後6時)。 


 もりみ・とみひこ 作家。
 近著に『聖なる怠け者の冒険』(朝日新聞出版)。7月、『有頂天家族』アニメ化へ。

(2013年6月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。 ご利用の際は改めてご確認ください)