うちのおふくろがね、好きだったのかな。子どもの頃、どこかにでかけるときの手土産はいつもこれ。大人の「良い手土産」のイメージでした。家にも置いてあって、よく食べていましたね。
パイのようなサクサクとしたクッキーに挟まれたレーズンとクリームの塩梅がいいんですよ。一つ一つのパーツがとてもおいしい。ちょっと大人の味だから正直、子どもの頃は良さをわかっていなかったんですが、年を取るとこのおいしさが理解できる。
「元祖レイズン・ウイッチ」という名前もレトロな感じでいいですよね。やっぱり昔から続いているお菓子ってすごいと思います。料理の作り手としても、定番で人に愛されるメニューというものに憧れます。昔からずっと変わらない味で、流行に左右されずにどっしりと構えたような感じが好きです。自分の店でも、はやりに流されずにコンセプトを貫き通す仕事の仕方をしたいと思っています。
甘いものって、なくても生きていけるんでしょうけど、お酒を飲んでるときのアクセントや、今日は疲れたなという日に食べたくなるときがあるんです。ウイスキーに合いますし、一日の締めのタイミングにこれがあったら、もう最高ですね。
◆新橋店 東京都港区新橋2の20の15(問い合わせは03・3571・7500)。5個入り675円、10個入り1188円。午前10時~午後6時半([土]は5時まで)。[日]、5月2日~5日休み、[祝]不定休。目黒店・オンラインショップでも購入可。
かさはら・まさひろ 日本料理店店主。1972年東京都生まれ。新宿の「正月屋吉兆」で9年間修業後、実家の焼き鳥店「とり将」を継ぐ。2004年、恵比寿に「賛否両論」を開店。近著に「笠原将弘の毎朝父さん弁当」(KADOKAWA)。