昔からそばにある懐かしいお菓子です。今では、見ると涙ぐんでしまうくらい親近感があります。
地元三重県のお菓子で、子どもの頃は、家にお客さんが訪ねてくると必ず持ってきてくれました。あんこが少なめなので質素に感じて、当時はそんなにテンションが上がりませんでした(笑)。
しかし上京して太白永餅を食べなくなって10年ほど過ぎた頃、久しぶりに食べてみると、二度見してしまうおいしさでした。実家を離れてみると両親のありがたさが分かるような、そんな気持ちです。あの頃は物足りなく感じていたあんこの量も、大人になると絶妙でおいしく感じます。飾り気のない見た目も、古い時代のにおいがして更に良いですよね。
今では、家族が舞台を見に来てくれるときは、差し入れとして桐箱(きり・ばこ)入りの太白永餅を買ってきてもらいます。僕は、家でお酒のおつまみとして食べます。ウイスキーのロックを飲みながら楽しむのが好きなんです。
三重県から上京してきて、俳優を続けて35年。今も変わらずあり続ける太白永餅を見ると、「ああ、永餅だ。おまえも頑張ってんだな」。そう思える、同志のような存在です。
◆三重県四日市市本町6の7(電話・FAX059・352・2463)。
9個入り1069円。
午前8時半~午後6時。
(日)休み。
電話、ファクスで注文可。全国発送可(送料別)。
たなか・てつし 俳優。1966年生まれ。
出演する舞台「住所まちがい」(9月26日~10月9日、白井晃上演台本・演出、仲村トオル、渡辺いっけい、朝海ひかる出演)が、東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで上演予定。
「太白永餅 金城軒」
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