元来の「もちもち食感好き」なので、家の冷凍庫には生麩が常備してあるくらいです。オーソドックスな生麩以外にも甘いものが大好きで、中でもこの「鯛焼き麩」は皮を生麩でつくった変わり種という点がお気に入り。試作段階のときに頂いて、おいしい上に、縁起モノのタイの形が目をよろこばせるし、お祝い事の贈答用にも重宝するんです。
ここの生麩はただもちもちしているだけじゃないんですよ。歯切れが良くて絶妙な弾力。普通の鯛焼きより小さめなサイズも気軽につまめていいんです。先代が買い求めた鯛焼きの金型を利用して、当代が商品化を実現したそうです。当初は当代しか焼けず、その後職人を教育して焼ける人を増やしていったそうですよ。店の人みたいに詳しいでしょう。だって当代とは20年来の飲み友だちですから。飲み屋のカウンターで偶然隣り合わせたんです。「カボチャの麩がおいしい」なんて話から意気投合して、そこからずっとかわいがって頂いています。
麩嘉さんが出店する錦市場周辺も観光客が戻りつつありますね。先日も目の前で欲しかった麩が買い占められてしまって。思わず心の中で「そんなに麩、使わへんやろ!」ってツッコミました(笑)。それくらい好きなんです。
(聞き手・鈴木麻純)
◆錦店 京都市中京区錦小路堺町角菊屋町534の1(問い合わせは075・221・4533)。
260円。
午前10時~午後5時半。
(月)休み。
オンラインショップでも購入可。
しげやま・いっぺい 能楽師狂言方。
俳優としてもテレビドラマ、舞台、CMなどで活躍。21日京都・金剛能楽堂「茂山狂言会 春 茂山七五三喜寿記念」、26日滋賀・びわ湖ホール「おうみ狂言図鑑」、4月2日兵庫・県立芸術文化センター「春爛漫(はるらんまん) 茂山狂言会」に出演予定。