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土井善晴さん
「京菓子司 末富」の山土産(やまづと)

「京菓子司 末富」の山土産(やまづと)
「京菓子司 末富」の山土産(やまづと)
「京菓子司 末富」の山土産(やまづと) 土井善晴さん

 末富は老舗の京菓子屋さん。「山土産」は山芋で作る薯蕷(じょうよ)皮とこし餡(あん)に栗が包まれた、この季節だけのもの。栗はしっとりしてて、驚くほどおいしいですよ。キメが細かくて、指で押さえたらそのまま吸い込まれていくように柔らかい。栗はすぐに皮をむかないと変色して煮えにくくなる。だから朝、落ちてすぐの栗の皮をその場でむいて、京都の町へ運んでいるんです。

 和菓子の世界は自然そのもの。日々変化する自然の移ろいに気をとめて、その印象をお菓子にするわけです。自分の意識を入れたらあきません。一つひとつていねいに、便利な社会になっても昔ながらの仕事の労を惜しまないことです。

 私の専門の家庭料理も、自然と共にあるものです。旬のものを前に「奇麗やな」「このおいしそうな食材を食べさせてあげよう」って。その感覚を忘れたらお料理はできませんよね。

 

◆京都市下京区松原通室町東入ル(TEL075・351・0808)。
 3個入り1782円。東京では、日本橋高島屋、新宿高島屋で10月17日(金)、21日(火)に販売。


 どい・よしはる 料理研究家。
 毎週(土)午前5時25分、「おかずのクッキング」(テレビ朝日系)に出演。

(2014年10月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)