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杉本博司
「Hyena-Jackal-Vulture」

だまし絵Ⅱ展(名古屋市美術館)

 


美博ノート
1976年 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy Gallery Koyanagi

 

 息絶えた動物に群がるハゲタカと近づくジャッカル。背後にはライオンが遠巻きに様子をうかがう。そこに写るのは、我々が「イメージする」生態系だ。

 これらは写真家の杉本博司がニューヨークの自然史博物館でジオラマを撮影したシリーズの一つ。動物は剝製(はくせい)、木や草は模型、背景は描かれたものだ。

 巧みなトリミングやライティング、ピントの合わせ方など、アナログな撮影技術を駆使して臨場感ある写真に仕立て上げた。色彩を排除し、本物らしさに磨きがかかる。

 「写真の迫真性は、虚偽も真実にみせてしまう。その力への賛美と皮肉の両面が感じられる」と学芸員の保崎裕徳さんは言う。

(2015年3月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)