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2009-2012 ©Go Watanabe Courtesy of ARATANIURANO |
展示室で涼しげな視線を感じる。まばたきの後の目の動きのなまなましさに映像に釘付けになった。
渡辺豪はコンピューター上で制作した頭部に、実在の女性を撮影して得た肌のきめや眉毛などの情報をもとにした顔表面を貼り、人ともモノとも言い難い「彼女」を作った。
だんだんまぶたが重くなり、うとうとしたかと思ったら、はっと目を見開き、生き生きと輝かせる「彼女」。見つめていくうちだんだんとしみやホクロまで見えてきて、これは錯覚だろうかと混乱する。
18分間の映像で、輪郭や目鼻立ちは変わらないが、顔表面はモデルとなった3人の女性のものに順番に移り変わる。表情が豊かに見えたのは、眉毛や唇がゆっくりと別人のものに変わったからだった。
自分が見ているものは一体何なのか。渡辺が一貫して追究し続けるテーマだ。