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歌川国芳「流行猫の曲鞠(まり)」

いつだって猫展(名古屋市博物館)

 


美博ノート
1841年、個人蔵

 

 1841(天保12)年から翌年にかけ、江戸では歌川国芳を中心に猫を題材にした戯画が多く描かれ、大流行した。役者の顔を猫に見立てたり、猫が擬人化されたりと、ユニークで多彩な作品が生み出された。

 本作は、当時浅草で評判だった、上方の曲まりの名人、菊川国丸の姿を猫に置き換えて描いている。まりを高々と蹴り上げる「高まり」、木にぶら下がりながら蹴る「下りふじ」など、曲まりの技を披露する猫。表情やしぐさは愛らしく、愛猫家の国芳ならではの描写だ。

 着物の図柄は小判や鈴、好物のイカ、肉球と思われるものまであり、遊び心に満ちている。今展では、国丸の興行の際に作られたチラシを隣に展示し、ポーズを見比べることができる。

(2015年5月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)