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1841年、個人蔵 |
1841(天保12)年から翌年にかけ、江戸では歌川国芳を中心に猫を題材にした戯画が多く描かれ、大流行した。役者の顔を猫に見立てたり、猫が擬人化されたりと、ユニークで多彩な作品が生み出された。
本作は、当時浅草で評判だった、上方の曲まりの名人、菊川国丸の姿を猫に置き換えて描いている。まりを高々と蹴り上げる「高まり」、木にぶら下がりながら蹴る「下りふじ」など、曲まりの技を披露する猫。表情やしぐさは愛らしく、愛猫家の国芳ならではの描写だ。
着物の図柄は小判や鈴、好物のイカ、肉球と思われるものまであり、遊び心に満ちている。今展では、国丸の興行の際に作られたチラシを隣に展示し、ポーズを見比べることができる。