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1933年、木版・紙 |
インスピレーションや集中力が増す「夜」。本展は、そんな「夜」を切り口に、所蔵品約120点で夜が育む想像力の不思議に迫る。
画面左には星空の下で物思いにふける人物、右下の屋内らしき場所からは巨大な目玉が不気味に望遠鏡をのぞいている。両者は別人のように見えるが、実は同一人物の内と外を表しているのかもしれない。「右上に浮かぶ汽車は想像力の飛躍の象徴にも見えます」と吉田映子学芸員。芸術家が持つ想像力を図式化しようと試みたのではないかと推測する。
1933年の制作当時、谷中は関東大震災後にモダン化した東京をさまよい歩いたという。様変わりした都市は、彼の想像力を刺激する絶好の舞台だったに違いない。