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左隻、1758-62年、紙本墨画 |
「夜」は恐ろしい闇だけでなく、楽しい娯楽の時間でもある。
この作品は李白の詩「友人会宿」を下敷きにした一作。月が明るいから寝るには早いと、友人と酒を酌み交わし、酔いがまわって山中に横たわれば、夜空が布団に、大地が枕になるという内容の詩だ。月に見守られながら、酔っぱらった李白が山で穏やかに眠る様子が描かれている。
蕭白自身、この絵と似た経験があるそうだ。伊勢を訪れた際に、松阪のあたりで空腹で倒れているところを助けられたという逸話が残る。野宿の気ままさを知っていたのだろう。自由奔放な筆づかいに、悠々自適な画家の人柄が垣間見られる。