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パウル・クレー「植物のシンボル」

芸術植物園展(愛知県美術館)

 


美博ノート
1938年 水彩、麻布 メナード美術館蔵

 

 古来、植物は成長や生命力を象徴するものとして表現されてきた。7日から始まる「芸術植物園」展は、古代の文様から現代アートまで、さまざまな「植物」を陳列する。

 謎めいた抽象画で知られる画家パウル・クレー(1879~1940)の本作は、展覧会を象徴する一点だという。土を思わせる茶色の背景。カラフルに塗られた中央の麻布に幹のような線がある。記号にも細胞にも見える図形からは植物に秘められた成長のエネルギーを感じる。愛知県美術館の副田一穂さんは「どんな植物にもなりうる『原形』の姿を描いたのではないか」と話す。

 クレーの言葉が残る。「芸術は眼(め)にみえるものを再現するのではなく、眼にみえるようにすることだ」

(2015年8月5日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)